スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.7
第7回 組織変容の手順
■マスタープランの必要性を十分に理解させる
マスタープランは、企業特性により、また、組織の成熟度により、各社ごとにかなり異なるものになるであろう。
また、自社には、マスタープランづくりの適任者がいない、ないしは、ルーティン業務の手が抜けないなどの理由により、マスタープランづくりにも困難な企業もあるかも知れない。
その場合には、外部コンサルタントを利用するのも一つの方法である。
マスタープランは説明されなければならない。
少なくとも、中堅幹部以上には、なぜ何々を、どのようにするのかを、分かりやすく説明することが大切である。その中で、どのような考え方をして、プランを作成したかも理解させておくことが肝要である。
しかし、十分説明したから、改革が成功するはずだと考えるのは、早計に過ぎる。
この種の過ちを何度も繰り返し、部下を信用できなくなった経営者、マネジャーは後を絶たない。これらの人たちは、最終的には、部下からも信頼を失っている。
■■短期で数値が変われば意識は変わる
改革は最終的には、現場の人たちの仕事の仕方を変えるものである。
ところで普通の人は、人に指図されて慣れた仕事の仕方を変えようとはしない。古くからいる人、仕事熱心な人ほど、仕方を変えさせられると、抵抗することが少なくない。
本人は、ベストの方法と信じていることが多いからである。
これらの人たちには、成功を体験させることが決め手になる。
仕事熱心な人たちには、新しい方法を実践させて、今までのやり方より、もっと良い方法もあることを体験させる。仕事にマンネリ感を持っている人には、変えることによって、働きがいを体験させることが、これらの人たちの意識改革のきっかけとなる。
プロジェクトの成功が積み重なると、改革の意義が、ないしは、その底に流れる考え方を本当に理解するようになる。
したがって、改革の初めに取り上げるプロジェクトは、成果が短期に上がり、その成果が数値で表れるものが望ましい。
■■■初期サミットにみる改革例
少し古いことになるが、昭和40年代に、サミットが、オール日本スーパーマーケット協会に加盟し、関西スーパーマーケットの指導の下に、本格的な改革に取り組み出したころのケースがある。
売価決めを、各店別から、商品部一括に切り替えようとしたが、店側から反対の声が上がった。
「関西スーパーに追いつけ、追いこせ」でやっているのだから、まずは関西スーパー並みにやってみようということで、商品部一括仕入れを実施する。その結果、売り上げが減少した店もなく、粗利益額は急上昇。しかも、粗利益率も店別のバラつきがほとんどなくなった。
その後、同社では、職人的な、やみくもの反対がなくなり、改革のスピードアップが進んだという。同社の組織は、数年の短期間のうちに、目を見張る変容を遂げる。今日の基礎固めが行われたのである。
組織が変容すると、個人の意識も変わり、能力も開発される。好例であった。
続きます