スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.15
第15回 コンセプトの効用―閑話休題
■対策のコンセプト
スーパーマーケット業界に多くの新しいコンセプトが生まれたということは、それだけ課題や問題意識が発生したということで、変化が激しくなり、開発・改善が進んでいることになる。
安全・安心は食品産業全体の今日的重要コンセプトである。
スーパーマーケット企業においても品揃え・販促(POPのつけ方など)に変化をもたらすと同時に、仕入・検品などのシステムにも影響を及ぼしている。
ひいては、これはグローバルなエコロジーの問題にまで範囲が拡がる性格の問題である。
「そこで我が社の対策は」ということで、対策のコンセプトを明確にする必要がでてくる。
このコンセプトづくりに当たっては目的を特定化し、領域を明確にする。
そして領域内の主要サブシステムを明示し、サブシステムにおける処理の手続き・方法など基本的な考え方(つまりサブコンセプト)を明らかにすることが重要になる。
■サッカーの戦術コンセプト
話が少しそれるが、最近、私が興味深く思ったことは、サッカー日本代表チームの岡田監督がインタビューで「ワールドカップの予選は選手たちが戦術コンセプト(攻守の早い切替と思われる)をこなせるようになっているので、突破できると信じている」と答えていたことである。
攻守の早い切替には多くのプレー要素が含まれ、状況の違いによってプレーの仕方が変わるのであろう。
このコンセプトの目的の一つは、シュートの回数を増やすことだと思われる。
なぜならば、シュートの回数が増えないと、得点が増えないからである。
シュートの回数を増やすためには、
・相手ディフェンスの隙を突くこと。
・ディフェンス体制が整えられる前にシュートできる所にボールを運ぶこと。
・こぼれ玉を拾うこと。
・コーナーキックや相手チームのファウルを誘発して、フリーキックによるセットプレーのチャンスを増やすこと。
・相手チームのオフェンス時にプレッシャーをかけ、パスまたはドリブルをカットしてボールの支配時間を増やすこと。
・何より、カウンター攻撃の回数を増やすことは得点力を高めることになるであろう。
等々、ずぶの素人の私が少し考えるだけでも、多くの攻撃要素が考えられる。
コンセプトがこなせるようになったということは、第1にこれら多くの要素、状況についてのイメージの共有化があげられよう。
理解と言い替えることもできよう。
第2に自分の適正な役割を自分で決められること、第3に自らの役割を果たす技術のレベルが充分に高いこと、があげられよう。
テレビの試合を見ると、選手たちが機敏になったことに気がつく。
またパスワークが早く、パスが受け手の所に送られるのではなく、ボールの送られる所に受け手が走り込むことが増えている。
さらにパスの送り手がディフェンスをかわし、自らはディフェンスのいない所に走り出し、パスの受け手が走り込む先にワンタッチの鋭いボールを送る。
このようなプレーを2人だけでするのではなく、3~4人の連携で上述のようなプレーをすることが増えている。ひと言で言いなおせば、チームワークが素晴らしく良くなった。
ともかくスピードが上がった。迫力が出てきた。
見ていても面白い。画像に引き込まれる。
チームが強くなっていることが実感された。
余談が長くなり過ぎたが「コンセプト」がプロスポーツのチーム力向上に役立ったというか、欠くことの出来ない手段であることを解説したつもりである。
続きます