スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.22
第22回 グローバリゼーション-食生活の変化
■グローバリゼーションにさらされているSM
以上、極めて大ざっぱにグローバリゼーションについて「言わずもかな」なことを述べてきた。
グローバリゼーションは以上の記述からもうかがい知れるような人類の広範囲の領域にものすごい勢いで押し寄せている変化の流れだと言いたかったからである。
この変化に対処する仕組み作りをすることを現代化と呼んでみたい。
かつて工業化による変化に対応する仕組み作りは近代化と呼ばれたように。
善良な人(お人好しと他人に思われる人)はグローバリゼーションの行く先は地球上のすべての人が人間らしい生活を営めるようになることと期待することであろう。
批判の目の肥えた人・シニカルな人は、現在、世界各地に多発している。テロ、民族紛争、ワーキングプアなどの問題を取り上げ、楽観論を批判するであろう。
私はときどき、若い頃、カトリックの神父に「山が高ければ、谷は深くなる」と教えられたことを思い出す。
浅学な私には、グローバリゼーションの全体像を解説したり、将来を予測する力はない。
しかし、スーパーマーケット産業は必ずグローバリゼーションにさらされる。いや、すでにさらされている。したがって、スーパーマーケット企業は対処しなければならない。
しかし、その全貌はまだはっきり見えていない。従って、その対処法をプログラム化することはできない。そこで、ここではスーパーマーケット企業のグローバリゼーションに対処するための心構えの一部を論ずるに止まる。
■食のグローバリゼーションの3領域
スーパーマーケットの使命は消費者の食生活の充実、向上に貢献することである。我が国の食生活は、諸外国の影響を受けて、明治以降、大きく変わり続けている。
大変豊かになり、飽食の時代と呼ばれるようになって久しい。
また、主婦の有職化、モータリゼーションの影響も受けて、家庭食のメニュー・買物の仕方などは、20~30年の間に信じられないほど変わった。
反面、伝統食の良さが見直され、例えばそば打ちの講習には若い主婦などが多数集まるという。
一方、外国において、日本食の評価が高まっているという。アメリカ、ヨーロッパをはじめ、アジアの主要都市には日本食レストランが出店し、日本人以外の人達にも人気が高いという。
半世紀前、日本に進駐してきた米軍のGI(兵士)達がサシミを見て、手も出さなかったことを思い出す。
先日、テレビで見たのだが、ヨーロッパ人のシェフが「日本人はなぜサシミを食べるのにワサビ醤油しか使わないのか。我々なら、それぞれの魚種、その日の他のメニューに合ったソースを開発するのに」と言っていた。肉食に偏りすぎた欧米では健康上の理由もあって、サシミ、寿司などに関心が深まっている。
中国の富裕層向けにコシヒカリ、リンゴなどの輸出も行われるようになってきた。
中国向けに日本の農作物を輸出することなど、一昔前には思いも寄らなかった。
以上、大変大ざっぱではあるが、食生活のグローバリゼーションが進んでいることを述べた。
続きます