スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.25
第25回 グローバリゼーション-食品産業の変容
■食品産業のグローバル化
食生活、食材のグローバル化と共に関連産業(食品産業)のグローバル化が進んでいる。3者の間には当然のことながら複雑な相互循環関係がある。グローバル化という意味では産業をアクター(初動を起こすもの)と見ることができよう。
その好例の一つは、大規模法人の一次産業である、農業・漁業参入である。日本では、電機産業がヒラメの養殖業を始めたり、工業の大手が大規模温室栽培業を開発して、話題を呼んだ。また、大手チェーンが農場の自営を始めたり、農業法人と業務提携契約を結んで注目を浴びている。
アフリカの新興国、その他の途上国では、外国資本の大農場、大牧場、養殖水産業に対する投資が増えるであろう。また、コールドチェーンの発達により、食品加工業が発展することになろう。外国資本の投入は、当該国の食生活、食事にどんな影響をもたらすか。
さらに日本のスーパーマーケット産業人にとって、最も深い関心のポイントは各国の流通システム・小売産業システムがどう変化するか、ということである。
また、日本の小売り産業にどんなインパクトをもたらすか、ということである。
これまでにも欧米から小売業が日本に進出している。成功している企業もあるが、すでに撤退したものもある。また、成否の成り行きが注目されているものもある。
これらの総体が食のグローバリゼーションの現状であろう。
しかし、そんなことでは対策の立てようもないではないか、というお叱りの声が聞こえてくるような気がする。
だから冒頭にせめて心構えだけは固めておく必要があるとお断りしたのである。
次回はその心構えについて校を進める所存である。