スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.26
第26回グローバリゼーション-グローバリゼーションに対する心構え
■心構えの3段階
先にも述べた通り、食品小売産業のグローバリゼーションのもとでの戦略はいかにあるべきかを論ずる力は私にはない。情報不足が原因である。
とはいえ、スーパーマーケット(食品小売産業)のグローバリゼーションも自動車やエレクトロニクス産業同様に進み、競争はますます、厳しくなることは確実である。
そこで、今考え得る範囲内で、対応のあり方を心構えとして整備し、経営活動に折り込むことが肝要となっている。
近代が、工業化と共に進み、ヨーロッパの先進国が帝国主義と呼ばれた植民地政策を行った時代とすれば、ポスト近代である現代は、第二次世界大戦で終焉した帝国主義の後にクローズアップしてきたグローバリゼーションが現代の中核的課題として位置付けることができよう。
ポスト工業化の時代は情報化だといわれて久しい。今やIT産業は情報革命の名にふさわしい発展を遂げつつある。
グローバリゼーションとIT化は現代化の2大支柱である。
換言すれば、グローバリゼーションとIT化が工業の一層の発展にも大きく貢献していると言うことにもなる。
さて、スーパーマーケットの心構えは、
① 企業の基礎固め
② 準備期
③ 戦略展開
の3段階に分けると考えやすくなる。
もっとも、3段階とは言ったが、これは必ずしも時間的経緯としての段階ではなく、考え方を整理するための段階である。従って、時間的には同時進行であっても差し支えない。
特に①と②には、重複する課題もある。
■心構えの第一段階:基礎固め~販売予算コントロールシステムの確立~
グローバリゼーション対応策の第1の課題は、一口でまとめれば、目標利益の確保である。
自社が海外進出するにしても、外国資本企業の日本上陸を迎え撃つにしても、本体事業のキャッシュ・フローが不安定であると、取り組むべき課題の優先順位の判断を誤りがちになる。また、従業員の不安感がトップ・本部・上司に対する不信感につながり、組織の凝集力が損なわれ、やれることもやれなくなる。
市場主義経済のもとで経営を行うためには、常に資金面にゆとりを持ち続けることが、存続、発展に不可欠の条件である。 食品小売業は、需要が景気動向に左右される程度が少ない。
したがって、フロック的に大もうけをすることがないかわり、一度利益を確保できるシステムを作り上げておけば、逐次、改善を積み重ねることにより、安定利益を持続させることが可能になる。そして、得られた安定利益を次々の改善に投入することにより、企業は発展するのである。
いわば、利益、使命能力開発の経営の複合目的の安定的循環を維持することである。
「そんなことは、誰でも知っている」という人も多いかもしれない。
続きます