スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.28
第28回グローバリゼーション-心構えの第二段階:準備期 Part2
■予算コントロールの概要
その一例のプロセスの概要を次に述べる。
売上予算コントロールを可能にした要因のキーワードは、販促品の売上の全体売上に対する比率、つまり“販促比率はあまり変動しない”である。
“売場づくり”を高度に安定させる作業システムを確立させた企業は、数年の過程の中で、トータルでも、部門別にも、さらにはカテゴリー別にみても、販促比率が大きくはぶれないことを発見したのである。
そこで、定番品はアイテム数も多く、短期的に売上を操作することはできないが、販促品なら、価格で売上個数を操作しやすいアイテムが選ばれる。品数も限定されるので、販促品の売上目標を設定し、これをコントロールすれば、売上全体の目標も達成するのではないかと考え、実証のためのプログラムを作成した。
■プログラムの流れ
プログラムは、実施月の2ヶ月前から開始される。
まず、実施月の2ヶ月前の販売会議で、販売促進部から販促原案が提示される。原案は各州のチラシ特売の主テーマ、副テーマおよび、テーマごとの主な商品名と売上目標値が記入されている。販売促進部では、前年までの同月、同週データを参考に、原案を作成する。販売目標値は、これが達成されれば、トータル予算が達成するはずという試算を計った上で設定される。
販売会議では、商品部、店舗運営部などとの意見交換がなされた後、販売原案は商品部に流される。
商品部は仕入先と折衝の上、商品名と売価を販売促進部に連絡する。この場合、商品部各部門の予算達成見込み試算が行われることは当然である。実施前月の販売会議前に販売計画書が作成され、販売会議に提出される。この会議には、店長代表3名も出席し、必要な調整が行われたうえ、各店舗、印刷所などに流される。
店舗に流された販売計画は、毎週行われる店舗の販促会議に登場する。店長はまず、週次販売目標達成の見通しを確認する。チーフ達は、それぞれに与えられた部門週次目標達成のための販促品の発注表に記入し、店長の承認を求める。(定番の発注は、チーフの責任で行うが、販促品には店長の承認が必要)
以上の手続きを行う間に販売方法(陳列の仕方、POPの作り方、つけ方、その他の補助具の使い方など)の打ち合わせを行う。
販促の前日には、閉店前にチーフは2番手(部下の中で社歴の一番長いもの)と基準フェイス表(当日の陳列場所と量をアイテムごとに指定する表)を使ってフェイス調整(販促品の陳列場を決めて、定番品の陳列場所の移動を行うこと)を行う。フェイス調整の適否により、当日の売上は2~3割増減することもあるという。
販促当日は、チーフは売場状況に気をくばり、品切れが起こりそうな場合、また逆に、残品が多く出そうな場合は店長に報告し、店長と善後処置を協議する。
特売終了後は、販売データを分析したレポートを作成する。
なお、店舗運営部は、月に2回ブロック別に分割した店長を集めてレビューの会議を行う。
商品部は毎週、前週の部門別販売実績のレビューを行う。販売促進部は販売計画と実績で差異の大きい部門、店舗がある場合はその原因を調査する。
上述のようなプロセスをふむ。プログラムを反復するうちに、予算コントロールの精度は順次高まるという。
続きます