スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.38
第38回スーパーマーケットのマーケティング……その成長期
■ ㈱関西スーパーのおかげで今のスーパーマーケットがある
嚆矢の役割を果たした関西スーパーが、それまでの日本にはなかったスーパーマーケットの店舗づくりのモデルをつくり上げ、そのノウハウを惜し気もなく、全国の食品スーパーに公開した。
その恩恵を受けていないスーパーマーケットは皆無と言っても過言ではあるまい。
関西スーパーは“店舗づくり”モデルを“本格的スーパーマーケット”と名付けた。
本格的スーパーマーケットの使命を「普段のおかず材料の提供」と断定した。
■ 店舗づくりの基本コンセプト
また、同社の“店舗づくり”の基本コンセプトは、次の1、2の大項目であった。(同社で使っていた用語は違っていたが)
1. 生鮮食品強化 (日本人のおかずの材料は生鮮食品が主体だから)
1-2 鮮度管理のための作業システム
1-3 鮮度管理の為の設備
バックルームのレイアウト
温度・湿度管理の機器の設置
2. 店舗全体のサービスレベルの高次安定
2-2 開店時、100%の品出し完了
2-2-2 前日の作業システム
2-2-3 当日の作業システム
2-3 作業割当システム
同社は業務システムと整合性の高い店舗のハードウェアづくりを行い、“店舗づくり”の水準の維持向上をはかったので、業績は著しく向上した。
また、同社の指導を受けた商品スーパーも、本格的スーパーマーケットの“店舗づくり”に開眼し、業績を伸ばし、スーパーマーケット・チェーン全体が、成長期に移行した。
駅前商店街の集客力に依存することによってしか採算をとることのできなかった、食品スーパーも、住宅地の中で、単独店でも、必要目標を達成できる集客力を身につけたのである。
集客力アップには、売場面積を広げたこともあったが、何といっても、生鮮食品を中心にマーチャンダイジングの高次安定化が大きく寄与している。
スーパーマーケットは上述の経緯を経て、企業規模を拡大してきた。この間に成長期の競争に乗れず、消滅した大企業も少なくない。
いまや、スーパーマーケット産業は、成長期の競争に勝ち残ったスーパーマーケット同士の競争の時代に入っているのである。
続きます