スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.39
第39回スーパーマーケットのマーケティング-食品スーパーの成熟期
■ネイバーフッド・ショッピングセンターの時代へ
生き残り組の競争の象徴的一例は、ネイバーフッド・タイプのショッピングセンターにおける競争である。
現在、私の住んでいる、埼玉県飯能市は、関東平野の西の端にあり、市全体が山際というより、半分が山の中にあるような古い町である。
池袋から急行電車で50分はかかるので、住宅地としても、発展は遅れ、人口もあまり変わらずに今日に及んでいる。商業開発も関東平野の中で最も遅れている町と言えよう。
こんな町にも、ネイバーフッド・ショッピングセンターが4つ営業している(うち1つは、総合スーパーによく見られる、2層の大型建物の中に多種の専門店テナント群とキーテナントのスーパーマーケットで構成され、3階が駐車場となっている)。
そして現在、新しいネイバーフッド型のショッピングセンターが建築中であり、オーバーストアになりそうである。
こんな飯能市の10年前の食料品の主な買い物場所は、駅から歩いて最大10分で行ける範囲にあった2つの小型スーパーマーケット3店と、GMS1店、および、百貨店の地下売場であった。
このうち、現在でも営業を続けているのは、スーパーマーケット1店のみである。その1店も、閉店のうわさが広がり、住民がその店の本部に継続を依頼して、閉店できずにいる、ということである。
まさに、ショッピングセンターの時代を迎えたかの感がある。飯能の駅前商店街は、ショッピングセンターと長引く不況のダブル・パンチをくらって、急激に衰退しつつある。百貨店が閉店してからは、その感が一層強くなっている。
飯能の商店街を通るたびに(ほとんど毎日釣行の往復に通る)我が身を思う感がする。共に日を経るに従い、活性を失っていくからである。
さて、このような状況の中で、スーパーマーケットは成熟している。いわば、成熟度競争の時代を迎えているのだ。成熟度競争のための“店舗づくり”はいかにあるべきか。これを考えるのが、このエッセイのモティーフである。
続きます