スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.40
第40回スーパーマーケットのマーケティング-ショッピングセンターの競い合い
■ マス追及時代の“店舗づくり”
我が国のスーパーマーケット産業も、ショッピングセンター同士で競い合うようになっている。
駅前商店街の集客力に依存しないでは、採算をとることのできなかった、小さな食品スーパーの時代と思い比べると、スーパーマーケットの成長、成熟ぶりが実感される。
スーパーマーケットがショッピングセンター時代を迎えた原因としては、外的要因としてモータリゼーションが一番大きい。内的には、単一店舗でも充分な集客力を持つまでに、ハードウェアおよびソフトウェア両面にわたる“店舗づくり”の開発が進んだからである。
大ざっぱに言えば、スーパーマーケット各社は、これまでショッピングセンターでの競い合いをするために“店舗づくり”開発に励んできたようなものである。
以上をマーケティングの視点から言い換えれば、「スーパーマーケットが、企業と政策を食生活の3要素:買い物の仕方、調理の仕方、食べ方、とのマッチングをはかったから」ということになる。
ショッピングセンター時代の到来は、素人目には、3要素のうち、買い物の仕方、すなわちマイカーによる買い物の普及に対応する出店戦略というとらえ方が一番分かりやすいであろう。
しかし、もともと食生活と社会(特に産業技術と経済環境)と食品小売業(ここではスーパーマーケットの“店舗づくり”)の3者は、極めて複雑なアクション、インターラクション(作用→複作用)の関係にある。
ニワトリ、タマゴ、ヒナの関係に似て、いずれがはじめで、何が終わりかを決めることはできない。
また、食生活の3要素自体も、複雑な相互作用の中で変化し続けている。
以上のような二重の相互作用関係の中で、スーパーマーケットは、昨今のショッピングセンターにおける競い合いの段階を迎えている。そして、それは、食生活の変化に対応して、スーパーマーケットが“店舗づくり”の開発に励んだ結果、つまりマーケティングの成果でもある、と言えよう。
ただし、これがスーパーマーケットの成果と言えば、戸惑いを覚える実務家は少なくないであろう。
それは、スーパーマーケットのマーケティングの定義もあいまいで、コンセプトも不明瞭であったことによる。
そこで、スーパーマーケットのマーケティングを
「家庭食の実態(変化を含む)スーパーマーケットの経営政策のミスマッチを正すこと」
と定義すれば、戸惑いは消散するであろう。
この場合でも、“意図的に”という言葉を入れるのと入れないのでは、認識に相違が生じるのかも。
続きます