スーパーマーケットのマーケティング Vol.5
5. 黒田節子さんのスーパーマーケットのマーケティング
■「ミスマッチ」発生の要因
ちょうどその頃、『食卓革命』などの著者である黒田節子さんとも会合などでたびたび会うことがあり、話し合う機会が多かった。
黒田さんの著書には「スーパーマーケットのマーケティングとは企業の政策と消費者の食生活とのミスマッチを正すことである」ということを教えてもらった。
当時のスーパーマーケット各社はマスを追及するあまり、顧客の食生活の買物行動、調理方法、献立のメニューなどともミスマッチが目立ち始めていた。
ただし、これらのことは大多数の男性経営者や仕入れ担当者達は気づいていなかったと思う。自分で買物をすることもなく、キッチンで料理することもなく、夕食も家族と共にとることなど稀であったからである。
一方では、買物客のほうにも色々な変化が起き始めていた。 主婦の毎日の日課であった買物は、電気冷蔵庫の普及や主婦の有職化などで買物頻度、買物場所も変化し始めた。また調理では、魚をさばくことのできない主婦、時間をかけて煮物をしない主婦、“味噌汁にご飯”の和食から“コーヒー、トースト、ベーコン”への洋食化など、変化を挙げればきりがない。
このようにライフスタイルが多様化し、それぞれのライフスタイルの食生活は、パターナイズすることができないほどに多岐にわたるものになったのである。
そのような消費者の変化を考えると、私が感心したところの関西スーパーマーケットの店舗づくりにも惣菜売場がないというのはミスマッチという黒田さんの指摘は妥当である。
続きます