スーパーマーケットのマーケティング Vol.6
2010年12月14日(火曜日)
6. スーパーマーケットの使命
■食生活の向上に貢献する
さて、ここまで少し冗長に過ぎる私のマーケティングの認識の変遷過程を述べてきた。というのも、長い間、この言葉の含みの広さ、深さ、曖昧さゆえにモヤモヤした思いを残したままで過ごしてきたからである。
しかし、黒田さんの「ミスマッチを正すこと」という切れ味の良い定義に接し、モヤモヤを払拭することができた。
黒田さんの言うところの「スーパーマーケットのマーケティングとは企業の政策と顧客の食生活とのミスマッチを正すこと」という定義は「顧客の食生活のニーズに応えること」であり、さらに「食生活の向上に貢献すること」と言い換えることもできよう。
では、何のために「食生活の向上に貢献する」のか?
これに対する答えは哲学的、宗教的、あるいは経済学的にかの見解によって異なる。
だが、経営学的に求めれば「使命」であろう。
企業は使命を果たすことによって、存続発展を成し得る。使命を果たせない企業、あるいは使命を終えて、当たらし使命を見つけられない企業は消滅する。江戸時代の駕籠屋、明治に入ってからの馬車などもその一例である。現代的な一事例としては、米国の地方メディアが使命を終えたのではないかと危ぶまれている。
わが国の小売業の中にも業種業態により、使命が終わったのではないかと思われるものも少なくない。
続きます
1 件のコメント
杉山先生、久しぶりのご健筆ぶりに真摯に拝読させていただいています。
先日、関西スーパーの店舗を久々に見る機会がありました。
その売場に愕然といたしました。
あまりにも今の(私の?)食生活とかけ離れているように思えたからです。
先生の書かれている故井上様との議論、黒田様の指摘を拝読し、
なるほどと、少し納得いたしました。関西スーパーマーケットの強みと弱み。
しかしながら、時代をリードしてきた関西スーパーマーケットには、
ぜひ次代の使命を掲げてもらいたいと、ファンの一人としてつくづく思っています。
杉山先生もご自愛のうえ、私どもに、ますますのご指導をお願いいたします。