スーパーマーケットのマーケティング Vol.24
24.マス・カスタマイゼーションの実現
■「革新」と「改善」
マス・カスタマイゼーションを実現するために、これからのコモディティ商品のマーチャンダイジングのあり方、および固定客づくりの手法の骨格を分けて考えてきた。これは、不特定多数客をターゲットとするマスと固定客づくりを最重視すべきとする相互に相いれない2つの概念の両立を試みるためであった。
対立概念の両立は可能であり、しかもシナジーを生み出すことも分かった。
この記述を進めるうちに私にとっての興味深い発見は、手法、つまり組織行動に画期的な革新と改善が進むということであった。
ここで、大ざっぱな言い方をお許しいただきたいが、カスタマイゼーションのための企業イメージづくりでは、革新という用語は、品揃面・陳列面などでコモディティ商品とライフスタイル商品で調整を行うこと、そして調整の仕方が上手になることは、改善と呼びたいのである。そして手法の改革、改善が相反する2つのコンセプトの両立、すなわち融合の触媒となり、新しいコンセプトが定着するということである。
私には複数のコンセプト文化を一つにまとめ(融合)、新しいコンセプト文化を生み出すことは、十数年来の関心事であったが、前進の入口が見つかったような気がする。日を改めて掘り下げてみる。
■またまた閑話休題:「言うは易く、行うは難し」
スーパーマーケットのこれからのマーケティングを展開する上で、マス・カスタマイゼーションが大きな効果を約束する新しいコンセプトであることを論述してきた。
この拙稿の主旨をご理解いただいた読者もおられることと思う。
しかし、論述することも、論旨を理解することも実践を経て良い結果を実現しなければ、単なる画餅になってしまう。
経営に関する議論は、良い結果を実現するためのものである。「言うは易く、行うは難し」のことわざのように実践はむずかしいが、むずかしさを理由に行動を起こさねば画餅に過ぎない。「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」の通り、行うはむずかしくても、行わなくては、よい結果は実現しないのである。行わないとよい結果が得られないに止まらず、最悪の事態に陥ることになる。
続きます