スーパーマーケットのマーケティング Vol.28
28.新戦略を開始する時のむずかしさ
■品揃えを決めるむずかしさ
新戦略をスタートさせる時、最初に戸惑うのは商品部のバイヤー達であろう。新戦略のコンセプトが解り、自分の役割をも納得したとしても、役割を果たすための具体的な行動を明確に把握し、それをやらなければならない。
バイヤーの役割の1つは、品揃えを決めることである。コモディティ商品の他にライフスタイルも加える。そこまでは分かった。コモディティ商品の品揃えの方法も理解している。しかし、味に焦点をおいたライフスタイル商品の品揃えとはどんな品揃えなのだろうか。
これまでは分からないことは、解決のヒントを得るため、他店見学に行った。時にはアメリカの視察旅行に参加した。しかし、今回はそんな方法では解決できそうもない。
そんな戸惑いであろう。
■「問題解決」とは
結論から先に言えば、戸惑いの正体は試行錯誤的問題解決に不馴れなことである。
不馴れと言ったが、正確には意識的にしなかったと言い直すべきであろう。スーパーマーケットはさまざまな試行錯誤を積み重ねて今日の企業システムを築き上げてきた。今にして思えば、試行錯誤をしているという自覚なしに、試行錯誤を続けてきたのかもしれない。
一般に問題解決とは、「目標を決定し、目標達成の手段を選択し、手段を行使して、目標を実現すること」と定義されている。
また、目標到達のための基準から逸脱した行為を基準内に修復することを問題解決と呼ぶこともある。
日本では、日常は後者の定義による用語使用のケースが多い。しかし、経営トータルを論ずる場合は、先に述べた定義による用語使用が多くなる。
さて、前者のケースでは、目標も手段も明確になっていれば、問題解決は比較的容易である。とはいえ、経営目標(例えば年間利益目標)を達成することは、決してやさしいこととは言えない。理由は手段が多すぎる上に、絡み合っていて、それらをすべてクリアすることはむずかしいからである。
まして、目標は示されても手段がすべて分からない場合、問題解決は更にむずかしくなる。こんなむずかしさを試行錯誤的に解決し続けてきたと言えよう。
続きます