スーパーマーケットのマーケティング Vol.30
30.試行錯誤的問題解決
■トータルイメージの共有化
さて、話を「おいしさに焦点をおいた、ライフスタイル商品開発」の試行錯誤的アプローチに戻す。関西スーパーマーケットのケーススタディに学ぶように、手順としてまず大事なことはトータルイメージを共有化することである。次いで、目標決定を行い、逐次目標内容を具象化した表現に直しながら、実施に移すということである。
関西スーパーマーケットのケースとここで論ずる課題の違いは次の2つである。
第1はトータルイメージのつくり方の違いである。
関西スーパーマーケットでは、ハワイ研修でトータルイメージの共有化をはかったが、今回のプロジェクトでは参考とすべき既存モデルが全くない。トータルイメージの共有化の段階でも両者は異なる方法を取らざるを得ないのである。
第2は目標設定の仕方の違いである。
関西スーパーマーケットのプロジェクトは業務システムの開発であるのに対し、今回のプロジェクトは戦略の転換である。業務システムの開発、改善では、最終プロセスのあるべき姿を描き出し、目標とする。このプロジェクトでは、品揃えを変えること、作業的に言い直せば、最適と思われる品揃表を作成することが目標となる。これは現状営業プロセスモデルの最初のプロセスである。
■試行錯誤的問題解決のまとめ
このシステムでは、目標を達成するためには品揃えの逐次改善のためのフィードバックシステム、なかんずく、コンピュータによるデータシステム、より具体的には、単品管理データシステムの改善が必要になってくるであろう。
以上いろいろ述べてきたことを要約すると下記の通りになる。
1. 問題解決を意識的・意図的に行うと状況、課題のタイプによる解決プログラムの違いを分類できるようになる。
2. 分類してプログラム案を提出すると、トータルイメージの共有化の方法が見つけやすくなり、共有化の速度、精度が高まる。また、目標設定の方法も向上する。
3. 操作的な目標設定すると、運営のためのトータルプログラムの整合性が高まり、フィードバックを繰り返すたびに目標の特定化・重点化が進む。
4. 目標の特定化・重点化が進む中で関係者全員(店舗のパートさんやアルバイトまで)役割意識が高まり、協業度も向上する。
さらにこの要約を一口にまとめると、組織の成熟度が高まるということになる。
続きます