商人舎

杉山昭次郎の「 流通 仙人日記」

 杉山昭次郎の「流通仙人日記」

スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.16

2009年07月13日(月曜日)
カテゴリー:
  • コンセプトの効用
  
10:55 AM

第16回 コンセプトの効用―組織力向上の為に

■企業組織においてのコンセプト

チームを組織と置き換えても同じである。

企業組織においても、何らかの施策を打ち出すに当たっては、計画段階においても実施段階に移るに際しても、コンセプトを可能な限り明確にすることが肝要である。

なお、コンセプトは少なくとも1度は文書化しておくことが大切である。文書化することによって、キーポイントが見えてくる。また重要な欠落に気がつくこともある。など、コンセプトはまとめ役の訓練に役立つ。

施策の計画段階においては関係者の間で激しい議論が交わされることも少なくないであろう。そんな時、文書化されたコンセプトを引き出してみると、用語の意味の解釈にずれがあることなどが発見されることも少なくないであろう。ずれを発見することによりコンセプトの認識が議論する双方に深まることが期待できる。またコンセプトそのものの調整が必要になることも考えられる。

実施段階では特に現場作業に追われることの多い人達は一度説明を聞いて分かったつもりになっても、時間が経つと、何がどうして分かったつもりになったのかが分からなくなっていることが少なくない。
このような事態の時、コンセプトの理解を深めてもらうためには文書化されたものが必要である。

さて、ここまで見てきたように、コンセプトは組織能力の向上に役立つが、コンセプトを使いこなすためにはコンセプトのまとめ方、施策計画の立て方、実践活動の中でそれぞれコンセプトの活用のための練習が必要である。コンセプトの活用に慣れると、改善開発のスピードが上がり、コンセプトの効用はさらに高まるのである。

次回は、これからのマーケティング上の重要コンセプトについて等を進めてみる。

コメント (0)

スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.15

2009年07月09日(木曜日)
カテゴリー:
  • コンセプトの効用
  
10:15 AM

第15回 コンセプトの効用―閑話休題

■対策のコンセプト

スーパーマーケット業界に多くの新しいコンセプトが生まれたということは、それだけ課題や問題意識が発生したということで、変化が激しくなり、開発・改善が進んでいることになる。
安全・安心は食品産業全体の今日的重要コンセプトである。
スーパーマーケット企業においても品揃え・販促(POPのつけ方など)に変化をもたらすと同時に、仕入・検品などのシステムにも影響を及ぼしている。
ひいては、これはグローバルなエコロジーの問題にまで範囲が拡がる性格の問題である。

「そこで我が社の対策は」ということで、対策のコンセプトを明確にする必要がでてくる。
このコンセプトづくりに当たっては目的を特定化し、領域を明確にする。
そして領域内の主要サブシステムを明示し、サブシステムにおける処理の手続き・方法など基本的な考え方(つまりサブコンセプト)を明らかにすることが重要になる。

■サッカーの戦術コンセプト

話が少しそれるが、最近、私が興味深く思ったことは、サッカー日本代表チームの岡田監督がインタビューで「ワールドカップの予選は選手たちが戦術コンセプト(攻守の早い切替と思われる)をこなせるようになっているので、突破できると信じている」と答えていたことである。
攻守の早い切替には多くのプレー要素が含まれ、状況の違いによってプレーの仕方が変わるのであろう。
このコンセプトの目的の一つは、シュートの回数を増やすことだと思われる。
なぜならば、シュートの回数が増えないと、得点が増えないからである。

シュートの回数を増やすためには、
・相手ディフェンスの隙を突くこと。
・ディフェンス体制が整えられる前にシュートできる所にボールを運ぶこと。
・こぼれ玉を拾うこと。
・コーナーキックや相手チームのファウルを誘発して、フリーキックによるセットプレーのチャンスを増やすこと。
・相手チームのオフェンス時にプレッシャーをかけ、パスまたはドリブルをカットしてボールの支配時間を増やすこと。
・何より、カウンター攻撃の回数を増やすことは得点力を高めることになるであろう。
等々、ずぶの素人の私が少し考えるだけでも、多くの攻撃要素が考えられる。

コンセプトがこなせるようになったということは、第1にこれら多くの要素、状況についてのイメージの共有化があげられよう。
理解と言い替えることもできよう。
第2に自分の適正な役割を自分で決められること、第3に自らの役割を果たす技術のレベルが充分に高いこと、があげられよう。

テレビの試合を見ると、選手たちが機敏になったことに気がつく。
またパスワークが早く、パスが受け手の所に送られるのではなく、ボールの送られる所に受け手が走り込むことが増えている。
さらにパスの送り手がディフェンスをかわし、自らはディフェンスのいない所に走り出し、パスの受け手が走り込む先にワンタッチの鋭いボールを送る。
このようなプレーを2人だけでするのではなく、3~4人の連携で上述のようなプレーをすることが増えている。ひと言で言いなおせば、チームワークが素晴らしく良くなった。
ともかくスピードが上がった。迫力が出てきた。
見ていても面白い。画像に引き込まれる。
チームが強くなっていることが実感された。

余談が長くなり過ぎたが「コンセプト」がプロスポーツのチーム力向上に役立ったというか、欠くことの出来ない手段であることを解説したつもりである。

続きます

コメント (0)

スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.14

2009年07月06日(月曜日)
カテゴリー:
  • コンセプトの効用
  
12:31 PM

第14回 コンセプトの効用―「コンセプト」とは何か?

■関西スーパーの「生鮮強化」

スーパーマーケットは気まぐれ、かつ欲張りな王様の要求に応えて新しい施策を打ち出し続けねばならない。
それがマーケティングである。有効な新施策を実践する能力が競争力である。

我が国のスーパーマーケットは昭和30年代に「安さ」をスローガンに王様のお気に入りになろうとして登場した。
アメリカの成功例を見習ったのであった。

しかし生鮮3品を主なおかず材料とする我が国の食生活には安さだけではマッチしなかったのである。
ドリップ臭、変色肉、乾燥野菜を陳列していたのではいくらスーパーマーケットがワンストップショッピングを標榜していても、お客は昔から続いていた業種店を買いまわっていたのである。

関西スーパーが生鮮食品強化のため鮮度管理に成功し、各社を指導し始めてから様相は一変した。
関西スーパーは、当時自らが開発した一連の業務システムを実施する食品スーパーを本格的スーパーマーケットと呼び、業界ジャーナリズムはスーパーマーケットの業態が明確になったと称賛した。

今にして思えば「生鮮強化」スーパーマーケットの画期的戦略概念であった。
その後、数10年の間に数えきれないほど、多くの概念がスーパーマーケット企業に導入された。
企業の中で新しく生み出された概念もある。

■「○○の」概念

ところで、概念という言葉について一言。
概念の英訳はコンセプトである。
私がコンセプトとは何かと考えた、というよりは考えさせられた最初は、ある経営書を読んだ時だった。
はしがきに「この本を書くに当たり重視したことは、理論とコンセプトである。云々…」とあったからである。
意味がつかめなかったので辞書を引いたら、「概念」とだけあった。そこで国語辞書を引いたら、「言葉の意味内容・大雑把な様子」などとあった。友人に尋ねたら、「考え方だよ」と言って笑われた。
結果、ますます意味が分からなくなってかなりの期間、悩まされた。

この間、私自身はコンセプト・概念という言葉を使ったことはなかった。
しかし、他人はよく使うし、書物にも度々出てくる言葉なので、だんだん使用法の中から意味がつかめるようになってきた。
結論だけを述べれば、概念の前に「○○の」をつければ分かりやすくなる。
例えば、「この課題のコンセプトは」とか「この問題意識の概念は」といった具合である。

続きます

コメント (0)
<次のページ
前のページ>
商人舎サイトマップ お問い合わせ
カレンダー
2015年4月
月 火 水 木 金 土 日
« 8月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  
指定月の記事を読む
カテゴリー
  • こだわり商品 (2)
  • ことわざから学ぶ (1)
  • カスタマイゼーションの効用 (1)
  • グローバリゼーション (13)
  • コンセプトの効用 (3)
  • スーパーマーケットのマーケティング (13)
  • スーパーマーケットの店舗づくり (1)
  • スーパーマーケットの未来 (1)
  • チェーンストア (1)
  • マス・カスタマイゼーション (10)
  • マス・カスタマイゼーションの準備段階 (2)
  • マーケティング (5)
  • リーダーシップ (1)
  • 事務局 (2)
  • 企業使命の重要性 (1)
  • 企業文化 (2)
  • 利益の概念 (1)
  • 商業の現代化 (2)
  • 固定客づくり (2)
  • 新プロセスモデル (5)
  • 業態の転機 (1)
  • 競争力は開発・改善スピード競争の成果 (1)
  • 筆者からのメッセージ (2)
  • 組織の変容 (4)
  • 組織計画 (1)
  • 組織計画は組織力強化不可欠の基礎条件 (1)
  • 組織計画は設計するだけでは機能しない (1)
  • 試行錯誤的問題解決 (3)
  • 賢者は歴史に学ぶ (1)
  • 週間販促計画に見る効率的な組織の運用 (2)
最新記事
  • 2011年08月05日(金曜日)
    【最終回】 スーパーマーケットのマーケティング Vol.41
  • 2011年07月13日(水曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.40
  • 2011年07月07日(木曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.39
  • 2011年07月01日(金曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.38
  • 2011年06月24日(金曜日)
    スーパーマーケットのマーケティング Vol.37
最新コメント
  • 2010年12月14日(火曜日)
    ワンダーウーマン :スーパーマーケットのマーケティング V...にコメントしました
  • 2010年07月04日(日曜日)
    ヒロロ :スーパーマーケットの競争力強化の視点...にコメントしました
  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2014 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.