旅・モンゴル
「可愛い子には旅をさせよ」
子より可愛い自分が、まず旅をする事と思っている。
豚インフレエンザで暇になった。
5月05日、北京に行くことにした。
今回は昔話。
3年前に堺屋太一さんに付いて行ったモンゴルの旅のことを思い出した
今までで旅の中で一番楽しかった、そのことを書こうと思う。
ご存知のように、モンゴルには、あの世界帝国を築いた宮殿・遺跡など何もない。
ユーラシア大陸の真ん中、見渡す限りの草原に覆われた高原・山々があるだけ。
私の見たこの光景はジンギスカンが見た光景。
1000年経った今も変わらないはずだ。
何もないと不思議と想像力が逆にわいてくる。
当時の生活や、戦い振り、ジンギスカンの思い。
彼らは何を思い、何に駆られて、ヨーロッパの果てまで兵を進めたのか?
地に境界はなし、人の間に差別なし?
ロシア、トルコ、イラン、イラク、東欧諸国、インドまで征服、
中国、韓国を支配、2度にわたって鎌倉時代に日本にも攻めてきた。
ヨーロッパで彼らを迎え撃ったのは、ヨーロッパ最強軍団、ドイツとポーランド連合軍。
7万のゲルマン民族騎士団、重装備の将兵たちが、
博物館でお馴染みの鎧、兜で対抗した。
ところが、皮の鎧をまとった軽装備の、馬を自由に操るモンゴル兵の敵ではなかった。
スペード・フット・ワークの勝利であった。
今、企業経営で望まれるも、それは軽快なフット・ワークである。
さあ、腰を上げよ。走れ。
豚インフレエンザなど恐れるな?
(店舗も設備投資に金をかけた重装備の時代ではない。人材教育・人に投資)
東方遠征で有名なアレキサンダー大王や、ロシアは失敗、
最強の軍事力をほこる米軍ですら手こずっている、
そのアフガニスタンもモンゴルは征服。
インドを攻め、あの世界遺産の霊廟タージ・マハルを造ったムガール帝国(モンゴル帝国のインド的発音)も建国。
あの勇猛果敢なモンゴル兵もインドの暑さには、
疫病続出で歴史的な苦戦をしている。
誰もが平和を望むと、日本人は言う。
彼らの征服の歴史を知ると、それはうそだと思える。
人間社会はそんな言葉でくくれない。
平和より、覇権を望んでいる人も多くいることが、歴史からわかる。
平和より、覇権が尊い。
今の中国は平和なぞ望んでいると思えない。中華民族の栄光と覇権である。
ロシアもそう考えられる。ジンギスカン時代と変わらないのだ。
私がモンゴルに行こうと思った理由は、
堺屋太一さんが日経新聞で連載していた、
ジンギスカンの小説と本を読んだことにある。
それはアメリカの仕組みは、すでにモンゴルが作っていたという文章であった。
アメリカを売って、飯を食っている私には見逃せない言葉である。
モンゴルの仕組み
1、文化不介入と敵を抹殺できる圧倒的な軍事力を持つ
2、人材の登用は民族や、宗教、氏素性は問わない
3、自由貿易と非兌換券、元朝が出した紙幣は当時のユーラシア大陸、どこでも通用した
4、帝国全土に張り巡らした、通商重視の駅伝と道路、情報網の整備
第二次世界大戦後のアメリカ
1、広島、長崎に落とした核、東京大空襲など、それにあたる。
2、シリコンバレー、ウォール街に代表される、多国籍な人材の活用
3、自由貿易の標榜と世界で通用するドル通貨
4、高速道路・フリーウェイの整備、スーパー・ハイウェイ構想による情報網の拡充
もちろん、これ以外にもたくさん共通点はある。
わが国日本のことを考えると、2世議員に代表される閉鎖性など、問題が見えてくる。
少数民族のモンゴル人が、巨大な人口を誇る中国や、イランを支配がなぜ出来たか?
その人材活用ノウハウを、企業経営者は、知らないといけない。
日本人しか通用しない、同郷、同窓の優遇、また有能な人材の定年、女性の活用の遅れなど、日本企業にまだ改善のチャンスがある。
グローバル化する今の経済活動は、
地域社会で、こじんまりと生きて来れたスーパー経営者にとっても、
他人事ではなくなった。
小売業において、平和でない、覇権を求めた戦いは、今始まったばかりである。
経営者2世は優秀な遺伝子を持つ人が多い。
戦場や修羅場をくぐれば、立派な経営者になれる。
可愛い子には旅が必要だ。
商人舎の研修に2~3世の参加も期待したい。
浅野秀二
5月01日