旅・北京PARTⅡ
ある中国人に尋ねた。
「中国の王朝で一番領土の広かった時代は?」
「元朝時代」私は反論した。
「それはモンゴル人の王朝でしょう。」
「それなら唐の時代」
「もちろん、唐の時代は中国の全盛期、領土も元朝に次いで広かったですね。
でも、唐とか、隋はトルコ系ですよ。」
「それなら清の時代?」
「それは満州人でしょう。」
「いや、中国中原に兵を進め、政権を樹立すれば、すべて中国ですよ。」
これは単一民族の日本人にはなかなか理解できない。
中国は他民族国家である。
秀吉の夢想が実現して、朝鮮を手にして、
明の大都・北京に政権を樹立していれば、
その後は、日本人も中国の少数民族になっていた可能性がある。
3日目は、広大な頤和園にタクシーで行く。
ここは清の乾隆帝の時代に完成、あの西太后が隠居後住んでいた別荘もある。
期待以上に美しく、2時間、池の周りを歩いた。
疲れたので、裏門のような所から出た。
タクシーは無かった。白タクの運転手が寄ってきた。
「50元?」私は相手にしない。外国では絶対白タクは駄目である。
正門まで帰る。タクシー乗り場には、たくさんのタクシーが駐車していた。
3~4名の運転手が近づいてきた。その中の一台に乗る。
目的地、カルフールの店に着く。
運転手が「50元と言った。」
そんな馬鹿な「25元だ?」
メーターを確認しようとした。何とメーターが無いのである。
これは白タク? おかしい?
私は間違いなく、タクシー乗り場でタクシーに乗ったはずだ。
巧妙なトリックに嵌った。
猛然と抗議をした。怒鳴りつけた。
相手が振り返る。
マフィヤの目つきだ。これは危険だ。
タクシーの運ちゃんが、マフィヤに脅かされてビジネスを譲ったのか?
たいした金ではないが、これが、中国に来ると感じる緊張感の原因である。
その後は、できる限り、地下鉄利用に切り替えた。
わずか35円で相当の距離が乗れる。駅員さんも外人に親切であった。
当然だが、中国にも良い人はいる。
カルフールの店は、天井も低く、狭く、洗練されたフランスの雰囲気はまったくない。
中国社会に埋没した店舗であった。
徒歩でITO YOKADOに行く。
日本の商品も多く、ローカルの店より、多少価格も高いし、高級感もある。
ウォルマートにも行って見る。
当然ながら高級感はないが、価格の品揃え、店の雰囲気、
アメリカから来た良さが感じられる。
中国の品揃えと非常にうまくミックスされていた。
かなりの賑わいである。
ウォルマートの中国での展開の成功は疑いの無い事実だ。
今後も一段の飛躍が期待される。
スーパー・センターは、すでに121店舗、3店舗のサムズ・クラブ、2店舗のネイバー・フッド店、これから100店舗のコンビニを計画中でもある。
ウォルマートのキャッシャーの月給は2万5000円程度、30年前の日本の給与と考えられる。
北京で最大・巨大シッピング・センターにも行ったが、
かってテレビで放送されたような消費ブーム・熱気はなかった。
世界同時不況もここでも感じた。
日本企業は、中国を新規市場として熱い眼差しをむけている。
確かに人口も多く、金持ちも増えてきたかもしれない、
中国のビジネスには、3つの欠けたものが目についた。
①サービス精神がない
②信用できない
③コピーの世界(オリジナリティがない)
高校時代に日中友好協会のミーティグに何度も出席をした。
目を輝かせ、「アジアに光を、東京・北京」と歌を歌ったこともある。
3度の訪問で中国ビジネスと政治の幻想は醒めた。
これからも、観光、映画、文学の世界は、楽しませていただこう。
今年中に、BRICのロシアとインド、次に続くトルコをできれば訪問したい。