《Vol.2》 ドニューブ川クルーズ
最初の寄港地パソーは、3本の川の合流地点。
美しい中州に船は泊まっていた。
2000年の歴史を持つローマ軍の駐留地や、6~8世紀の東欧の王国、
アジャール人(アジア系)をフランク王国のカール大王が破った話、トルコの侵入、
ナポレオンの活躍など豊かな歴史を持つ地だが、一泊で移動だ。
ドナウ川はドイツからオーストリアに流れて行くのだが、
オプションでチェコ共和国にバスで行き、
その後、次の港・リンツ(オーストリア)にて合流する道を選んだ。
1993年1月1日、チェコとスロバキヤは平和的に2つの国に分かれた。
1939年ヒットラーによってドイツに併合され、1945年西側諸国によって解放されるが、
1950年ロシアに占領され、共産化された。
経済悪化の中、1960年の民主化運動がおこり、1968年再びロシアが侵入する。
1989年大規模なジェネストで民主化を達成した。
現在の人口は1100万人たらずの小国である。
(それより、東京オリンピックで活躍した、ゴールド・メダリスト、
チャフラススカの金髪と笑顔を憶えている日本人も多いと思う。 今、彼女はどうしているだろう…?)
バスは雪景色の中、走る。
絵のように美しいこの南ボヘミアの町は、
曲がりくねった、VLTAVA(ヴルタヴァ)の渓谷にあった。
この町はチェコ内地とオーストリア・ドイツのドナウ川地域と
北イタリアとがちょうど接するところに位置している。
古い中世の町とクルムロフの城、おとぎ話の国に来たようだ。
ユネスコの世界遺産に登録されている。
3日目はオーストリアのソルツ・バーグ(ザルツブルグ)に行った。
今は石油を持つ国が経済力をもつが、中世世界では岩塩を持つ町が経済力をもった。
ここはソルツ(塩)で繁栄した町、オーストリア第2の都市・25万人の町である。
それより、モーツァルトの生誕の町としての方が有名である。
サウンド・オブ・ミュージックの撮影の町、あのアルプスの麓で、
ジュリー・アンドリュースが、ド・レ・ミの歌を歌った光景はここだ。
雪を抱いたアルプスと途中で見た湖が美しい。
ここでは思いがけない発見があった。
アメリカではこの10年、新しいショッピング・センターとして、
ライフスタイル・センターが開発されて来た。
我々もライフスタイル・センターはヨーロッパの商店街、
ダウンタウンの古き良き町の再現と説明をしてきた。
ロスのザ・グループや、
サンノゼ市のサンタナ・ロー・ショッピング・センターなどに、もうそっくりである。
教会や広場があって、3~4階建てのアパート・住居の下は店舗である。
広場には近隣の農家の直売場、ファーマーズ・マーケットがあり、
自家製のパン、野菜、魚、肉など、生産者の顔を見ながら買い物をする。
また、いたるところに迷路(路地)があり、隠された店が好奇心をそそる。
観光客の存在は地元の人の衝動買いを誘う。
この賑わいこそ、小売の原点、必須条件だ。
花屋。各種バラを取り揃えている。
八百屋。新鮮なフルーツがたくさん。
りんごをよく見ると、ハートマークがついている。
日本ではあまり見られない、ロマネスコ。
歴史、文化の中での買い物は楽しい。
明らかにここ本場の方が人も多く、魅力的であった。
価格競争だけになりつつある今のアメリカの小売業は、
消費者の心を無視しているように思える。
この町でのショッピングは楽しい。
それにしてもニューヨーク5番街のような人出である。
大通りには小型のスーパーもあった。
田舎町としては洗練されている気がする。
「糖分の無いアイス・ティーはないか?」と聞いたら、「ない」と言われた。
これからヨーロッパ人の体型もアメリカ化するだろう。
困ったことだ。
1月12日
浅野秀二