JUNE(6月)のニューヨーク
ヨーロッパでは「ジューン・ブライド」という言葉がある。
それは1年で1番気候が良く、結婚式に最高だからである。
日本の6月では、梅雨のため、結婚式は様にならない。
今、ニューヨークも初夏を迎え、訪問には最高の時である。
来られる予定の方は、視察の合間を縫って、
ぜひセントラル・パークを散策していいただきたい。
セントラル・パークに面する、
メトロポリタン美術館では、ピカソ展を開催している。
禿げたピカソしか知らない私は、
彼の若い時の写真に、格闘家の姿を見た。
肉体・性の神秘、悩める人間、
人間社会の矛盾や本質に迫る狂気をみた。
彼の絵に風景画があったような印象はない。
ピカソの絵の良さは相変らずわからない。
しかし、その絵は強烈な個性を放っている。
これは魅力だ。素人の私でも解る。
現代は、素晴らしい絵が世の中にたくさんある。
「上手い」とか、「美しい」とか、
色々な形容詞が当てはまる数限りない絵や美術品。
特に生活のために働かなくてもよい豊かな現代は、
アーテストで満ち溢れている。
しかし、心を強く惹かれる絵は少ない。魂が感じられない。
ピカソの絵は個性こそ値うちだ。
私は芸術には興味はないが、海外では美術館は時々行く。
それは絵画でも肉体・エロス、戦争の絵(人が人を殺す狂気)、
宗教画、人間の本質に迫るアートが多いことに興味を魅かれている。
ルーブル、メトロポリタン、ボストン美術館でも
驚くほどこれらのテーマが多い。
日本の芸術にはこれらに迫るものは少ない。
それだけ、世界史でも稀にみる競争の少ない、平和な社会であった証拠だ。
しかし、グローバルな競争に投げ出された今の日本、
政治も経営も変わらないと、日本は生き残れない。
いま、まさに芸術も平和も経営も、
人間社会の本質に迫り、本音で議論しないといけない。
スポーツも似ている。
元・全日本サッカー監督が最近の文芸春秋の中で語っている。
選手が試合中でも監督の顔色、指示を伺っている。
選手は瞬時に自分で決定・行動しないといけない。
小売業で言えば、現場力だ。パートさんが選手だ。
他所の店の物マネや、上司の指示待ちには感動はない。
競争・生存のために優先順位を瞬時決定する現場力。
スポーツや芸術を愛する集団が、現場力が店舗を躍動させる。
ピカソ展でそれを感じた。
ニューヨークのスーパーはすべての店舗に個性がある。感動の連続だ。
FAIRWAY MARKETのオーナーの息子にもインタビュー出来た。
自由の女神の見えるブルックリンの店である。
「1週間に$1.6ミリオンを売っている」と言っていた。
「月商約6億円?年間70億円、信じられないが…?」と私は再確認した。
そうすると彼は、
「我々のブロード・ウェイの店は、面積当たり、一番売っている。
1週間に$2.4ミリオン(単位:100万)売っている」
と言うのである。
私は思わず、
「ギネス・ブックに載っているのは、スチューレオナルドだ。
面積あたりの売上げは、彼らが一番のはずだ」
と、反論をした。
彼は答えた。
「それを我々は抜いた」
思わず、「ニューヨークのトレーダー・ジョーズはどう?」と
聞きそうになったが、いや、その話はやめよう。
真実はともかく、「これから6店舗の店を近い将来15店舗にする」と強気だ。
「ありがとう。また、来週も来るよ、頑張って成功させて欲しい」
幸運な視察第一歩になった。
今回はウォルマートの新装開店初日にも遭遇している。
全体的に4月に来た時より、店は微かに客が少ない気がした。
ニューヨークの景気は、株価次第。
悲観論、楽観論あるが、私は後半から徐々に良くなると思っている。
それは不景気に飽きたから??
経済よりあたらぬ心理学だ。
強気に行こう、タイムズ・スクエアで若者から、
世界の人々から元気をもらおう。
弱気は死んだ後で十分時間がある。
せめて生きている時ぐらい強気で行きたい。
ディナークルーズにも行った。これが一番の感動であったようだ。
予算の問題もあろうが、感動体験に外せない条件もある。
ホテルはマンハッタン内、食事も大切だ。
美術館や街や公園を散策する時間があればなお良い。
今回の研修も感動の涙と笑顔で別れた。
浅野秀二
6月20日