テニスの王子様とホール・フーズ
いつの間にか、庭の梅はすっかり散り、
野も山もすでに桜が満開である。
春が来たのだ。
元テニス国際審判員の余村五月さんが我が家に泊まり、
連日、「彼」の応援に行っている。
ここで飯を炊いて、おにぎりや弁当を届ける、熱心なファンである。
錦織圭くんの試合がある2月10日。
私は運よく出張が無い。
自称「圭くんの応援団長」、応援に行くことにする。
会場はサンノセ市のパビリオン、犬も歩けば棒に当たる。
その隣にホールフーズの予定地があった。
偶然、この日のサンフランシスコ新聞には、
ホールフーズの業績が載っていた。
昨日(9日)発表された第4四半期の売上は、
14%増加して$3ビリオン(100円計算で3000億円)。
何と$88.7ミリオン(88.7億円)、79%もの利益が増加した。
昨年の同時期は$49.7ミリオンしかなかった。
売上、利益とも金融業界の予想は上回っている。
この調子で行けば、2011年は年間売上1兆円を楽に超すことになる。
同じ時、インターネット上の情報によれば、
ウォルマートの既存店が伸び悩み、0.8%のアップ。
株式は「買い推奨」から、「保留」に変わった。
この2社の明暗は非常に注目すべき出来事だ。
景気回復によるものと見なすだけでなく、単純に言えば、
ウォルマート対抗する勢力、Winco, Aldiなどが出たが、
ホールフーズのレベルに到達する、
競争相手になりそうなスーパーは、
まだ出現してないと言うことになる。
ところで残念だが、
表題の「テニスの王子様とホールフーズ」は、
ほとんど関係ないことになるが?
いつかこのパビリオンで試合がある時に、
ここのホールフーズに来て、そしてこの店の大ファンになる。
大いなるこじ付けだ。
このホールフーズの予定地は、
昔のインダストリアル・ゾーン(工業・産業用地)である。
周辺はまだ工場や倉庫や空き地のある一帯、
デルモンテの缶詰め工場ビルはコンド・ロフトに改築され、
やっと人が住み始めている場所である。
このような立地での潜在需要を開発することで
ホールフーズは躍進して来た。
よって上記の表題になった。(圭くんは潜在顧客となる?)
さて、以前から日本のマスコミの“王子様”という
表現が気になって、このブログを書き始めた。
テニスの王子様、ハンカチ王子…
日本人は、よほど王子様が好きなようだ。
アメリカでは、プリンス・王子様などと、ほとんど表現をしない。
この国では家柄や・毛並みの良さでは英雄になれない。
リンカーン大統領に始まり、クリントン大統領、オバマ大統領。
彼らは貧しい階級から来ている。
アメリカでは、シンデレラやシンデレラ・ボーイは好まれる。
これは貧しい、恵まれない階級の女性や男性が成功する物語、
これこそアメリカン・ドリーム。
けっして王子様は登場しない。
ところで、島根出身の圭くんは本当に王子様か?
私は実はそう考えていなかった。
彼は普通の家庭の出身で、
特別に羨ましがられるような環境で育ったわけではない。
松岡修造氏とは違って田舎の男の子だ。
小学6年生の時に全国大会で優勝し、松岡氏に見込まれ、
ソニーの奨学金でフロリダにテニス留学した。
現在世界ランキング72位。
王子様と言うより、シンデレラ・ボーイと言う方が、ふさわしい。
ところが五月さんいわく、同世代のテニスプレーヤーは、
彼に対して異常なまでものライバル意識・敵愾心を持って、
向かって来るそうだ。
今回ダブルスでペアを組んだべランキス君は
貧しい小国・リトアニアのタクシー・ドライバーの息子だ。
多くの選手は貧しい生活資金から大会に参加している。
それと比較すると、圭くんには経済大国日本の世界的企業、
ソニー、ユニクロ、日清食品などのスポンサーが付いている。
そもそも世界ランキング72位では、
ほとんどスポンサーは付かないのがこの世界だ。
日本人・圭くんのケースは特別だ。
だからライバルから見ると、やはり彼は王子様に見えると言うのだ。
圭くんの前途にはハングリーなライバル達が立ちはだかる。
それに打ち勝って王子様を返上して欲しい。
小学校を出たばかりでアメリカにやって来た時の志や夢と、
「優勝してお父さんとお母さんに家を買ってあげたい」と言った気持ちを
忘れないで欲しい。
この日は格下の選手に負けた。
とても食事に行こうと誘える雰囲気ではなかった。
次回に期待したい。
良い時もあれば悪い時もある。
失敗や悪い時の方が、
その後の人生にプラスになる。
彼が無名だった17歳の頃、ロスでスーパーに行って、
あんパン、寿司、日本のお菓子など買った。
そこが最初の出会い。
次回、ホールフーズで寿司を買って、この表題はやっと完成を見る。
浅野秀二
2月16日