日本でスーパーマーケットを見学
東京のサラリーマン生活2年目、
マージャンに昼サロ、
公園のベンチでごろ寝の不良サラリーマンは、
1974年、10月、長嶋巨人の
「我が巨人軍は永久に不滅です」に
心だけは高揚していた。
我が日本も永遠に成長し、不滅だ。
世界で勝負をしないといけない。
そう固く信じていた。
2011年、経済大国2位から3位に転落、
隣国からバカにされぱっなしでフラストレーションがたまっていった。
東北関東大震災では、
ダメ押しのカウンター・パンチのようなショックが私を襲った。
日本はもうだめだ。
永遠に繁栄するものは何もないか?
それにしても原子力は止めたくても、止められない。
永遠に放射能を出し続ける?
これも困ったものである。
どこかで死(STOP)が無いと、本当は困るのか?
永遠とは、生まれ、死を迎え、また生まれる、輪廻転生か?
そう考えると、東北関東大震災は創造的破壊か、
日本が永遠に生き延びるための仕組みだったのだ。
日本は再び起きあがる。
その狼煙(のろし)が今、上がった。
両親の米寿の祝いに兄弟のファミリーが、
3月28日、松江に集結することになった。
ところが、米国発・日本はとても行ける雰囲気ではない。
私の家族は訪日を取りやめ、
同行の息子の友達5名も悔し涙であきらめた。
アメリカでの情報は、日本列島は放射能が覆っている??
日本不滅論者の私だけが、
成田往復を関空往復に切り替え、松江に向かった。
そこで父の病気を知る。
米寿の祝いはない。
途方に暮れた私は友人の案内で、
ツアーに来ていただいたいくつかの店舗を見学することになった。
HOKの新店に行くことにする。
場所は富士の麓、写真をご覧ください。
この見事な風景、店もカラフルで非常に素晴らしかった。
偶然、店内に、3月よりさえき本社の社長に栄転したHOK長谷川元社長がいた。
これには本当に驚いた。
富士(大山)さんをバックに写真を取りましょう。
「この写真なら誰でも富士山と思いますよ」
長谷川社長、「ええ、ここでは伯耆富士と、言いますから」
地元の人より、山陰に3年余りで慣れ親しんだ長谷川社長。
彼は腰が低く、あの保守的な山陰で
地元のベンダ―、社員、客に支持され、愛された。
さえきグループの今後は楽しみだ。
長谷川社長を抜擢した佐伯会長の眼力にも脱帽だ。
この店は、週末は観光客でゴッタ返す。
難癖を付ければ、ベーカリー横のイートイン・コーナーが狭すぎる。
社長も認めた。
「地主と何度も交渉したが、これ以上広く出来ないです。
これが最大の失敗です」
大阪では、伊丹市で巨艦イオンモールが開店した翌日、
交通渋滞が引き起こされていた。
中国やインドで見かけるような、超巨大モール。
アメリカでGMSが低迷して久しい。
しかし、アメリカと違い、日本のGMSは、
食品スーパーを内在していたので、
それが本質的な問題を覆い隠し、今日まで生きながらえて来た。
「浅野さん入りますか?」
「時間もないし、大きすぎますよ?」
それにしても京都南区のイオンモールの食品売り場はよく入っていた。
松江市のサティも天下だ。週末はここしかない。
日本の土地には限りがある。
京都駅から徒歩で1万2500歩、
スーパー・マツモトの新店に行く。
やっと私が理想とする広さのイートイン・コーナー。
コ―ナ―(隅)ではない。
堂々と正面入り口にスペースが広く取られている。
ホール・フーズに似ている。
社長のお嬢さん、明子さんがいた。
「昼、ここはいつも周辺の人で一杯です」
大学の同級生、松本社長に電話する。
「前もって電話せな、あきまへんがな?」
人の仕事を邪魔するほど野暮にはなれない。
私はまだ日本人なのだ。
ホール・フーズに一番似ていたのは、
日生中央駅の阪食のオアシスだ。
大阪の中心からいくつも山を越え、日本生命が開発した、大阪の端だ。
惣菜、ベーカリーが特に美味しそうだ。
3方から店内が見えて、入れる。
アクセスは最高だ。
ショッピングセンターも程よいサイズ。
利便性が高い。
これに健康と美容が伴えば、関西では向かうところ、敵無しか?
実は気になったことがある。
高級感あるオアシスでも、
べイシアでも、カインズでも、
イオンでも、マツモトでも
共通して言えることは、野菜と果物が泣いていた。
ビニールでも覆われ、息も絶え絶え、半死状態に見えた。
僕をここから出して、私の色と形を見て、
もっと個性に気が付いて!と叫んでいた。
人間の心は、いつ穏やかになるか?
それは自然を見たときである。
野菜や果物の持つ自然美、その安らぎをこれらの陳列は否定している。
ビニール袋の中のその姿が悲しかった。
岐阜ではバローにも行った。
良い店である。
それより、木曽路の美しさに心を打たれた。
アメリカの大農家を紹介したことで、カネスエの役員にも名古屋で会った。
5年後のカネスエのすごさを、日本の業界の人は知ることとなるだろう。
「一宮一円戦争」をしたこの会社は尖っている。
和をもって尊しとする日本社会では別格だ。
日本の経営は角が取れて、誰もが丸くなっている。
既得権をいかに守るか?
それが最大の関心事。
商売はリスク。
リスクを避けた経営は実は経営でない。
リスクをいかに取るか?
それが経営だ。
日本国の経営も同じ、要するに挑戦だ。
税金だけでは東北を立て直せない。
東北無税地区を設けて、民間の力を活用する。
政府が新しい街作りを立案し、世界の民間資金を導入せよ。
期限限定で法人税も消費税も無しだ。
井上ひさしの「吉里吉里人」が、いま東北無税国家として誕生だ。
(注釈、東北弁と出雲弁は、ほとんど同じ)
日本のスーパーのレベルは高い。
アメリカの店を見るだけで、我々の商売は成り立たないとつくづく感じた。
頑張れ東北!頑張れ日本!!
一番頑張らなくて行けないのは俺自身のようだ。
浅野秀二
4月1日