プラハにて
アメリカ対日本の女子ワールドカップサッカーの決勝を
アメリカ人は楽しみにしていた。
私の住む町、アラメダ市も市役所の前に大型テレビを設置して、
勝利の瞬間の興奮を市民と共有する予定であった。
私は残念ながら、その前日の土曜日にプラハに向かった。
なでしこジャパンの試合がずっと気になった。
空港でもホテルのロビーにもテレビはなかった。
翌朝、インターネットを繋いだ。
日本の勝利、意外な気がした。
じわじわと感動が襲い、涙が止まらない。
目を腫らしたまま、市内観光のチャーターバスに乗り込んだ。
このバスにはアメリカ人43名が乗っている。
一人の男が、叫んだ。
「日本女子がアメリカに勝った。
おい、信じれるか?
彼らはラッキーな2発を決めた。
あれは幸運以外の何物でもない。」
悔しさが溢れていた。
バスの中は驚きと興奮で一瞬ざわついた。
私は大きな声で「Yes, Japan did it!!」と叫んでしまった。
計算外の言葉だ。
周りは敵ばかり、バカなことを言う男だ。
「お前はどこから来た?」 「日本だ」 「良かったな」 と、
次々、握手を求めてきた。
なんとバスの中で拍手が起こったのだ。
一人のおばあちゃんがハグまでしてきた。
「おめでとう。この勝利は日本に必要だったのよ」
アメリカ人は、本当に素晴らしい人たちである。
やがて、夜にはテレビ・ニュースの報道も見た。
チェコ共和国のドイツ語の新聞とチェコ語の新聞にも、
写真入りで記事が載っていた。
読めないので解らないが、
世界はなでしこジャパンの勝利を
感動と興奮、讃嘆の心を持って見ている。
震災に打ちひしがれた日本国民に
勇気と自信と信念を蘇らせた。
そう理解することにした。
この、なでしこジャパンの女子の勝利を思うにつれ、
日本の男たち、団塊世代の政治家のだらしないのが気なった。
彼らは国際社会に失望と軽蔑と諦めをもたらしている。
震災で頑張っている国民や、なでしこジャパンの女性たちと、
政治家たちの体たらく。
この落差はどこから来るのか?
最初は民主党に問題があると思っていた。
でも問題はもっと深刻のような気がする。
今は誰がなっても同じだと思える。
戦後の教育が間違っていたのかもしれない。
何がそうさせた?
理由はいくつもあるだろうが、彼ら全共闘世代は、
憲法9条は世界に稀な人類の理想を具現したものだと教わった。
戦後の日本が平和だったのは、
この平和憲法のお陰だと教わったのだ。
日本の平和と繁栄は
米軍の圧倒的な軍事力・覇権のお陰だとは教えなかった。
ドラッカー教授もしつこく言っている。
「事実を認めよ。現実からスタートせよ」
世界史を見れば、この憲法ほどの欺瞞は人類史上ない。
すべての交戦権を否定するのではなく、
日本は2度と侵略戦争しないと言うならわかる。
日本国を脅かす勢力には断固戦うと、明記すべきだ。
嘘からは何も始まらない。
ある経営塾では、「成功=考え方×努力×熱意」と言っている。
憲法9条のような世界観で近隣諸国と付き合ってきたが、
日本を取り巻く環境は、悪化する一方だ。
お互い核大国になったインドと中国、中国とロシアの
国境紛争は無くなった。
今回、韓国が
北朝鮮首都・ピョンヤンを直接完全破壊する能力を持ったことで、
北の韓国攻撃の可能性はなくなった。
現実を認めない日本は危機だ。
原発の無い社会の実現など、
単なる個人の夢と理想で、政治がまた語られた。
3度も被ばくした日本だからこそ、
核技術を支配するノウハウをもつ責任と使命があると考えるが、
これも団塊世代の理想論ではないかと
非難される恐れがあることは承知している。
なでしこジャパンの成功のもう一つの要因は、
彼女らが体力、精神力のすべてをかけ、
命がけで戦ったからだ。
政治家は政治生命をかけ、
相手と刺し違える気持ちでやらないと、
事はなせない。
経営者は自分の地位も財産も、
すべて掛けないと勝負に勝てない。
経済戦争で、オーナー経営者の多い中国に負けるのも、
これも道理だ。
もう後が無い。
現実感の優れている女性に期待するしかないか?
さて、人口1000万人のチェコ共和国の首都、
プラハは1000年の都、人口は120万人。
中世ヨーロッパを支配したハプスブルグ王朝時代、
ウィーンに次ぐ都として繁栄した。
ヴルタヴァ川(モルダウ川)の流れの美しい、豪壮な街だった。
中世ヨーロッパは、キリスト教と、
このハプスブルグ王朝を抜きに語れない。
ドイツ語使うオーストリア人の国、ハブスブルグ王朝は、
このスラブ系人種のCzech(チェコ)を400年支配したらしい。
あの有名なマーティン・ルター牧師も
ここからプロテスタント・新教運動を始めた。
カトリックとプロテスタントは神の名のもとに、
宗教戦争で虐待・殺戮を繰り返した。
中世の残虐行為の博物館に入ってみた。
釜ゆで、人間の股をのこぎりで引きながら切る、
人間の両手両脚に綱を付け4方から馬で引き割く、
尻の穴から頭まで鉄で串ざし、
人間の口に煮えたぎった鉛を流し込む…
当時の人々はありとあらゆる知恵を絞って、
この残虐行為、宗教裁判を楽しんだ??
愛を説くキリスト教ですら、裏の世界の歴史がある。
政治の世界は裏も表も見ないと、国民は犠牲になる。
旅行をする度にいつも思うことは同じだ。
日本の政治家よ、目を覚ませ、現実を直視せよ。
都心だけだったが、
スーパーマーケットを4、5軒見学してきた。
チェコはEUのメンバーでありながらユーロではなく、
自国の通貨クラウンである。
この元・共産国の物価は、
日本やアメリカとほとんど変わらない。
これは驚きだった。
単にドルが弱いだけかもしれない。
アメリカの政治家も夢から覚めないといけない。
出来る限り写真を掲載したい。
いろいろとご想像ください。
浅野秀二
7月21日
2 件のコメント
浅野先生へ
私もTVでライブ観戦しながら、なでしこジャパンの勝利に涙しました!
話は変わりますが、猪瀬直樹氏が戦後の日本の安保体制を「戦後の日本の経済発展と今の現状を例えると、塀の外では米国の兵士が警護するディズニーランドの中で遊んでいる日本人」との記事を読み。考えさせられました。
コメントありがとうございます。
民主党政権はどんどん進化しています。
最初は事実を
1)見ざる、言わざる、聞かざる
でした。
ところが、
2)学ばず、行動せず、考えず、となり
今は、
3)私の愛する日本を
邪魔する、破壊する、消滅させる
毎日、日本の新聞を読むには悲しくて仕方ありません。
ここまでわからないと、江沢民が言ったように
「20年以内に日本はなくなる」が、現実化しそうです。
国民がジェネストでもして、政権をはやく交代させないと
もう、これ以上の傍観はできないですね。