セーヌ川クルーズ(3)
正直に言えば、セーヌ川クルーズから
帰ってきてから、もうひと月たっている。
時間と空間は本当に不思議な気がする。
結局は、今のこの瞬間の、この場だけが現実であり、
過去の出来事は1カ月前も20年前も記憶でしかなく、
時間の差は感じない。
空間も同じ。
テレビやインターネット、新聞を見なければ、
ある意味、自分の目で見えない世界は
存在しないことと同じだ。
少なくとも、肌身で感じることはできない。
セーヌ川クルーズのメモを
いっさい取っていなかったので、
色々な記憶が混在したブログに
なっていってしまうような気がする。
最終日の前日は、パリ郊外の港町に泊まり、
翌日はバスでベルサイユ宮殿へ
半日コースに行くことになった。
ベルサイユ宮殿の観光客は
日本人と中国人で70%を占めていたような気がする。
そういえば、20数年前、
サンフランシスコから在米中国人に混じって
ベルサイユ宮殿に来たことがある。
その時の中国人ガイドは、中国の歴史と比較しながら
フランスやパリの説明をしていた。
これは非常にわかりやすかった。
当時もベルサイユ宮殿の豪華絢爛さには驚いたが、
中国の紫禁城や江戸城のスケールと比較すると、
それほどでもなかった。
大きな疑問があった。
どうしてこの宮殿にはトイレがないのだ。
オマルを使用していたらしいが、
あの豪華な部屋の隅の方で、
傘が開いたようなスカートの中に、
侍従がオマルいれ、用をたした。
マリー・アントワネットもそうした。
その時の音は?その時の臭いは?
男でも恥ずかしい。
だから中世ヨーロッパでは香水が発達した。
それにしてもこれだけ高度な文化をもつ
ベルサイユ宮殿の中にトイレが無いのは理解しがたい。
古いヨーロッパの城にはちゃんと
屋外にトイレがつくられていたのだから。
今回も「ベルサイユ宮殿トイレの謎」は解けなかった。
ベルサイユ宮殿の庭園は、
ワシントンD.C.のリンカーン・メモリアル公園と
とてもよく似ていた。
さて、ベルサイユ宮殿を見たあとは、
我々だけバスを降りて、
電車でパリ市内まで行くことにした。
船に戻ってしまうと、パリまでは船移動で、
パリ市内観光の時間はなくなってしまう。
私は有名な百貨店、ボン・マルシェを
どうしても見たかったのだ。
ベルサイユからなんとか、
電車でパリ市内まで行く。
電話の中では、たくさんの日本人学生や、
60歳過ぎの大阪のおばちゃんたちが
大声で大阪弁で会話をしていた。
懐かしい大阪弁だ。
本当にベルサイユからパリに向かっているのか?
頭が混乱してきた。
パリ郊外はサンフランシスコ以上に国際化している。
電車に約1時間乗り、
それから地下鉄に乗り換え、
ボン・マルシェ百貨店近くの駅に降りたはずだった。
結局、デパートまで1時間も歩いた。
空腹で倒れこむように食品売り場へ向かい、
1階のカフェのような場所で食事をした。
昼食が26ユーロ、
ニューヨークのイータリーという
イタリアン・スーパーマーケット/レストランの
空間の一角のような雰囲気であった。
ギャラリー・ラファイエット百貨店と同じく、
このデパートも1階が本格的な
スーパーマーケットだった。
お惣菜の種類もすごい。
フレンチはもちろん、アジア料理まで幅広い。
クリスマスシーズンのディスプレイは
目に楽しい。
各食品売り場には必ず、
試食コーナーと担当者がいた。
オースティンのホールフーズ本社も
ここから多くのヒントを得たに違いなかった。
京都の和菓子さんも試食デモをしていた。
日本の商品は情緒があって、高級なイメージで、
パリでは売れるらしい。
最後の夜だ。
再度、シャンゼリーゼ通りを歩いてみよう。
すると、行列している店があった。
あの有名なルイ・ヴィトンのパリ本店だった。
行列というより、一度にあまり多くの人が入るので、
出て行く人を係員が止めて数分待たす。
そして待っている人が一斉に出る。
その数分の間に、また外には30~50名が並ぶのである。
この繰り返しが行列になっていた。
店員さんに聞いた。
週末は9000名から11,000名が来店するという。
この不景気に、この小さな店に、1万人も入る。
しかも安い商品ではない。
最低でも数百ドルはするものだ。
このブランド力、価格、価値、伝統の力。
ルイ・ヴィトンは世界最高のブランドなのだと、
つくづく感じた。
ルイ・ヴィトンのものを使ったことがないが、
初めて、そのブランド力を認めることができた。
しかしここでも、客の70%はアジア人だった。
時代の変化を感じる。
確実に21世紀はアジアの世紀だ、と感じた。
さて、EUがどうなるか?
2012年、日本人はユーロ崩壊は間違いないと思っている。
あの誇り高いフランス人でさえ、言っていた。
「ドイツがなんとかしてくれる。ユーロは大丈夫だ」
もう昔のヨーロッパには戻れない。
EU加盟国の多くの国は陸続き、
国が狭くて数時間で国境越えなければいけないような
昔にはもう帰れない。
それが歴史の必然だ。
大借金を重ねたギリシャあたりが
破産するのは経済の必然。
歴史と経済の必然の綱引き、
ドイツの底力は勉強しないとわからない。
ロシア経済でもブラジル経済でも、
ドイツ系移民やドイツ・マネーの果たしている役割は大きい。
アメリカの人口も白人ではドイツ系が一番多い。
ドイツを語るように日本が語れるなら嬉しい。
21世紀、中国に吸収されないような
日本をつくって欲しい。
野田首相お願いします。
歴代の民主党首相には頼めなかったが、
自衛隊員の息子なら多少は解ってくれそうな気がする。
日本国は日本人が何とかする。
アメリカや中国が日本のために本気で
北朝鮮や拉致問題を解決してはくれない。
それは甘い期待だ。
そろそろ他国に依存した発想は辞めるべきだ。
そんなことを考えながら、
パリ市内の港に戻った船に帰った。
港の近くには新興住宅街があり、
新築のコンドミニアムがたくさん建ち並んでいる。
この周辺でMONOPRIXの新店を見学できた。
パリ市内で一番頻繁に目に入ったスーパーだ。
この店は「モノプリ」といい、フランスに約300店展開しているらしい。
1990年頃からエコロジーや持続型経済や社会を
目ざしている店で、人気がある。
青果売り場はカラフルでなかなか良かった。
早く船に帰って、エッフエル塔を見ながら
最後の夜をワインで楽しもう。
ワインを飲みながら妄想が始まった。
2012年はアフリカ・キリマンジャロ(5895メートル)紀行を
書くことができれば、この上無い幸福だ。
キリマンジャロに登れる体づくりだけはしておこう。
<By 浅野秀二>
2 件のコメント
浅野先生
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
パリの旅、素敵ですね。
私も去年の6月に仕事で南仏に行った帰り道、3日間ほどパリに寄りました。
3日間ともボンマルシェに行き、隅から隅まで健康系の食品を始め、全ての食品をチェックし、
メゾンカイザーのサンドイッチ片手にルーヴルへ行ったことを覚えています。
アメリカに行き少し知識がついた今ならもっと違った視点で見ることが出来るのに・・・。
またいつの日か再リサーチです!
7月にヒューストンへ行こうと思っています。
お勧めのお店などあれば是非教えてください。
では今年もよろしくお願いいたします。
石坂様
3月18日、今日コメントを見ました。
ヒューストンはあまり話題の店は知りません。
ダラスと似たようなチェーンが多いです。
また、何かあればお知らせします。
Rice Epicurean Market(惣菜で話題の店)
5016 San Felipe Street 713-621-0422
Houston TX 77056
Whole Foods Market
2955 KIRBY DR. 713-520-1937
Houston TX 77056
HEB PLUS STORE
2805 Business Center Dr 713-578-6100
Pearland , TX 77584