第1回立命OB流通研究会
暑中お見舞い申し上げます。
さて先日、流通業に携わっている立命館大学の卒業生たちで、
同窓会をしようということになった。
十数年前の話になるが、
119年の歴史を誇る老舗、株式会社イシダ(ハカリ)の
当時、常務であった吉岡先輩に会った時の
不思議な魅力を忘れられない。
吉岡先輩はいつもニコニコ笑っているが、
この人は叩いても絶対に引き下がるような、
ヤワな根性の持ち主ではない、ということはすぐに分かった。
典型的な日本人の特性をお持ちの方で、
それは我が母校、立命館のキャラクターでもあった。
私が入学した当時の立命館大学は、
日本で一番授業料の安い大学だった。
年間授業料が6万8500円、入学金はたったの3万円だった。
国立大学に落ちた連中がたくさん入学していた。
最初は国立大学に行けなかったコンプレックスの塊であった人たちが、
一カ月も経たないうちに、京都が好きになり、
立命館大学を愛してしまうという、大変貌を遂げるのである。
質実剛健、権力になびかない野党精神(ごますりなど全く縁がない)、
学閥、門閥、金無し、当時の言葉で言えば、
プロレタリアート(労働者)の子弟たちである。
ただ、立命館の学生ということで、女と就職には苦労した。
アルバイト先でこんな会話があった。
「あんた、立ちゃんやろう?」
「どうして解りますか?」
「そんなのすぐ分るわ」
「京大や同志社の学生にどうして見えないですか?」
「あんたは野暮や、京大は絶対にないし、
同志社の学生さんは、もっとオシャレやで」
しかし、不思議だった。
どんなに女にモテなくても、けなされても、
他校を羨ましいと思わない。
心はびくともしないのである。
ハンディキャップを跳ね返す日本人精神に溢れていた。
その心は今も変わらない。
それにしても、就職には苦労した。
指定校制度に阻まれ、大企業には受験資格すら無いのである。
若い方はご存知ないだろうが、当時は指定校制度があり、
一流大企業は採用大学を指定していたのである。
我が母校は多くの一流企業の指定から外れていた。
そこで公務員である京都府警や、
信用金庫などの中小金融機関、
そしてなんといっても当時の新興企業、
体力と根性だけが必要とされたスーパーマーケット企業が
大量に採用してくれたのである。
ダイエーやニチイ、ジャスコ、長崎屋には
50名単位で就職して行った。
ただし、同じ小売業でも、
三越や高島屋などの百貨店に入社する人は少なかった。
いや、出来なかったのかもしれないが。
さて、今回の集まりには10名ほどが参加した。
株式会社イシダの相談役、吉岡典生さん、
株式会社フクヤ代表取締役社長の、岡村忠明さん、
株式会社マツモト代表取締役社長の、松本隆文さん、
市民生活共同組合ならコープの開発室、浅井正満さん、
オール日本スーパーマーケット協会の
総務グループ情報システム シニアエキスパートの魚住正悟さん、
乾海産株式会社の代表取締役社長、乾勝亮さん、
伊藤ハム株式会社のCS関西営業部部長、玉井康史さん、
株式会社イシダ常務取締役、上野誠一さん、
そして、幹事をつとめてくれた、
株式会社イシダ西日本流通システム課マネージャーの小森佳範さん。
(写真と名前の並びは順不同です)
場所は東山の老舗、「粟田山荘」。
ホテルオークワの京都別館である。
京都らしい素晴らしい庭園を持つ料亭であった。
最初はただ酒を飲むのが目的だったが、
同窓会はいつの間にか
「第1回立命OB流通研究会」という名前に変わっていた。
司会進行は、幹事の小森さん。
吉岡会長のご挨拶の後、
「浅野君、すこしアメリカのスーパー業界の話をしてくれ」と言われた。
このような場で難しい話や長い話をするほど、
今の私は野暮ではない。
(どの女だ、昔、私を野暮だと言ったのは?!)
「アメリカのスーパーは勝ち組と負け組が明確になってきた。
勝ち組はWWWTCA、
Walmart, Whole Foods, Wegman’s, Trader Joe’s, Costco, Aldi。
さらにこれにもう一つWを付けてWinco。
それからHEBやPublixも。
実はこれらの勝ち組には共通点がある。
労働組合のない比較的新興企業であり、
“店は客のためにあるが、実は社員のためにもある”
という認識をもっている企業だ。
Customer SatisfactionとEmployee Satisfactionを
両方実現しようという企業である。
従業員満足と言うと、
どうしても給与、福利厚生の方に目が行くが、
残念ながらいくら待遇を改善しても、
従業員満足は達成できない。
人間は尊敬と愛、お互いの信頼関係を欲しがっている。
認めて欲しいのである。
仲間が欲しいのである。
この人間関係こそが経営の要諦である。
社員も顧客も家族の一員なのだ。
私は長い間、米国のスーパーを見てきて、
それを今、一番強く感じている。
特にウェグマンズ、ホールフーズ、トレーダージョーズ、
ナゲットマーケット、HEB、そしてPublixなどは、
多くの点で古い日本の価値観を共有している。
システムやテクノロジーも大切であるが、
人間関係を強化する仕組みを再度見直すべきだ。
それにはコミュニケーションが中核をなす。
飲み会や、アメリカのように社員の誕生日を
ケーキとコーヒーで乾杯するのもよい。
運動会、社員旅行、そしてアメリカ研修旅行は、
仲間と旅行をして、社員同士や取引先との
人間関係強化に大いに役にたつ。
この同窓会でも素晴らしい人間関係を築けた。
この幸福感を共有したい」
私の隣に座ったマツモトの松本社長は、
同級生で柔道部に所属していた。
「浅野さん、早う、キリマンジャロに行きなはれ」
同じく同級生の岡村社長は、若い時は恵まれなかった。
お陰で根性ができた。
最後は立命館大学元応援団長、玉井さんのリーダーシップで、
応援歌「グレーター立命」歌った。
楽しかった。
ぜひ2013年も30名ぐらい集めて、
第2回立命OB流通研究会をできれば幸いである。
<By 浅野秀二>
[追伸]
このブログを見た同窓生の方々、
ぜひ幹事役の小森佳範さんに連絡ください。
(連絡先 090-3276-5285)