I Love My JOB
いつも頭の中を回っている言葉がある。
時々、口からもメロディーをともなって出てくる歌がある。
「I love you, yes I do
愛しているよと 君に云いたくて
そのくせ 怖いのさ
君に今度 逢うまでに
みつけておこうね
その勇気を」
加山雄三の歌だ。
今日はYOUの代わりに、私の仕事と置き換えたい。
「I love my JOB,
はっきりと宣言をしたい。
皆様のお蔭でこうして
好きな仕事させていただいています
心から感謝しています。」
今年の前半も忙しかった。
5月中旬、日本から帰ってきた2日後、
5月14日の結城先生に同行。
その後7月3日まで2日間を除いて、
出っぱなしだった。
約50日間の長丁場だ。
正直体調を気にした。
平均すれば睡眠時間は4~5時間しかない。
睡眠だけは十分に取ろう、
風邪だけはひけない。
最初の23日間は家にも帰れない。
空港から町へ、町から空港へ、
ホテルからホテルへの移動。
洗濯は毎晩するように心がけた。
夜遅い食事は避け、軽くワインを飲み、熟睡するだけ。
この間、ラスベガス5回、
ニューヨークとロスは3回、
サンフランシスコ、サクラメント、シカゴ、ダラスは
それぞれ1回ずつ行った。
これはシカゴの高層マンションから見た景色。
奥に見えるのはミシガン湖。
ラスベガスでは、
トレーダージョーのマネジャーと5回も会った。
すっかり友達になった。
「いつでもお前と一緒に日本に行ってもOKだ」
ラスベガスでは次のツアーがくるまで2日間あったので、
オーガナイザーと彼の奥さんと3人で
モニュメントバレーまで行くことになった。
「大西部の奇観はすごい。
ここが地球とは思えない。
宇宙のどこかにいるようだ!」と喜んでいただいた。
ところがレンタカーで往復16時間もかかったので、
2人とも寝不足でフラフラ。
何とか無事に帰ったが、危険な旅であった。
無謀がまだできる若さは素晴らしい。
ニューヨークでは2度も雷雨にあった。
飛行機がキャンセルになり、
別の便で7時間遅れの深夜12時過ぎに
別の空港に到着。
その翌日、1時間半もかけて
Wegmans Foods Marketに行ったが、雷雨で停電。
そこで別のWegmansへまた移動したが、
そこでは大雨に降られた。
踏んだり蹴ったりなニューヨークであった。
今回、地元サンフランシスコ周辺の視察が意外と少なかった。
今年前半はサンフランシスコ、サクラメント方面が多かったが、
秋は再び、東海岸とダラスが中心なる。
インタビューを通じて、
いくつか印象に残った言葉がある。
ニューヨークのホールフーズでの出来事。
創業者、オーナー社長のジョン・マッケイ氏は
店舗訪問をする時、会うすべての従業員に聞く言葉があるらしい。
「Are you happy?
(貴方は幸せですか?ホールフーズで働いて幸福ですか?)」
私はこの話に感動した。
ジョン・マッケイ社長の最大の関心事は
社員の幸せだったのだ。
フォーチュン誌で
2013年の働きたい企業ランキング17位に入った
「コンテナー・ストア」のマネジャーへ質問した。
「どうしてコンテナー・ストアは働きたい会社の
上位に常にランクインしているのか?
その理由は?」
彼女は瞬間的に答えた。
「Emotionally, I love my company and my people.
(感情論よ、会社や働く仲間が好きでしょうがないの)」
理屈はいらない。
そこに愛があれば、働きたい会社ということか?
もちろん、経営には金も福利厚生の充実も必要だ。
それ以上に大切なものは、信頼や愛や仲間意識だ。
金ですべてが買えると言ったホリエモンも、
相場師、村上代表も消えて久しい。
ユニクロの柳井社長は仕事をする奴は1000万円稼ぎ、
能力もない人間は100万円でも良いと言った。
それはアメリカの能力主義のようだと
考える人もいるかもしれない。
しかし、アメリカは必ずしもそういう社会でもない。
成功報酬だけで社員のやる気を出させているわけはない。
物心両面も満足させようとした稲盛先生は
考え方でJALを立て直した。
人の幸せを願う考えこそが、
アメリカの流通業の成功の原因だ。
アメリカ経営の精神面を知ることが、
米国視察の大きな目的なのである。
Wegmans、Trader Joe’s、Whole Foods、Zappos。
それはアメリカの民主主義の
普遍の価値からくるものかも知れない。
日本では、己の野心や欲望、幸福のみを追求するのが、
アメリカの強欲な資本主義と捉えられている。
金融やIT関連ではそういう一面もある。
それはフロンティア精神とも言える。
野球で言えば、
野茂はすべてのリスクを承知で
自分の野望と夢を賭けた。
そして誰にも負けない成績を残した。
彼こそアメリカの理想とする英雄像がある。
それと比較して、松井秀樹氏は
ニューヨーク・ヤンキースの4番打者として
特に突出した成績を残したとは思えない。
だがヤンキースは、7月29日に彼のお別れ試合をする。
これは非常に特別なことだ。
なぜか?
松井こそ「For the team(チームのために)」という
アメリカの一面を代表する具現者であったからだ。
チームのため、ファンのため、世のため、
仲間や、人の幸福のために自己犠牲も伴わない精神だ。
野球には犠牲バンドや犠牲フライもある。
『葉隠』の「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」は
チームのため、国のための自己犠牲の精神と似てはいないか?
アメリカの小売業を勉強することは、
数字や形や、知識とともに、
考え方を学ぶことのように思える。
さあ、50日続いた出張も終わる。
すべて無事??に終わった。
皆様に心から感謝。
もっと忙しくしていただきたい。
肉体の限界に挑戦したい。
I Love You.
<By 浅野秀二>