スペイン旅行・マドリード
4月中旬、スペインへ旅立った。
マドリードに到着後、
敬愛する「ラ・マンチャの男、ドン・キホーテ」の銅像に挨拶に行く。
「あなたのように人生を生きられなかった」と報告。
その後、市内を散策する。
日の沈まないスペイン帝国の首都マドリードは期待通りの街だ。
王宮は150メートル四方、2700室もあり壮観だった。
世界の三大美術館
メトロポリタン、ルーヴル、エルミタージュを
見たことで満足をしていたが、
世界一の美術館がマドリードにあるらしい。
プラド美術館 だ。
美術の時間で知ったゴヤ、ピカソ、ラファエロ、エル・グレコなど
巨匠の絵がたくさんあった。
ゴヤは耳が聞こえなくなった後、異常な絵を描くようになったらしい。
「どうしてスペインには、ダリ、ピカソ、ガウディ、
ドン・キホーテなどクレイジーな人が多いのか?」
隣のアメリカ人が答えた。
「それをクレイジーと言ってはいけない。
ユニークと言うべきだね。」
ゴヤの絵には一度も心を惹かれたことがないが、
他の4名は若い時から大好きだ。
中学2年の時、東京で開催されていたダリ展の絵を
毎日新聞の連載で見て、衝撃を受けた記憶がある。
若い時は感受性が豊かだった。
ゴヤは本当に嫌なのか?
ワイフの結婚前の名前は実は「ゴヤ・呉屋」。
何というべきだろうか?
そういえばフラメンコ舞踏も非常にユニークな表現だと思う。
大好きだ。
私自身がやはりクレイジーかもしれない。
その夜、地下鉄に乗って闘牛を見に行った。
ラッパが鳴り響き、音楽が流れると牛が闘牛場に放たれた。
場違いなところに来たと直感的に感じた牛が一瞬とまどった。
そして入口に戻ろうとした。
闘争意欲は明らかにない。
馬に乗った3名のレスラーのような大男が槍をもって入場してきた。
その後から徒歩の3名の闘牛士(助手)が
赤い布でブル(雄牛)を刺激する。
やがてもう一人のスター闘牛士が現れる。
ブルはやっと闘争本能を見せて攻撃開始。
しばらくブルと闘牛士のお馴染みのショーが繰り広げられる。
やがて馬上の大男がブルの背中に槍を力強く刺し込み、
グイグイ押し込み牛の体力を奪っている。
その後、3名の助手の闘牛士が飛び上がって、
首に合計6本の槍を刺し込む。
これで牛は首が痛くて角を激しく上に振る力はなくなる。
そこへスター闘牛士が剣でまた刺すわけだが、
それでも急所でも当たらない限り、一刺しでは牛は倒れない。
何度も何度も剣を取り変え、刺し込む場面を見せられた。
3番目の闘牛ではやっと一刺しで倒した闘牛士がいた。
その時は観客は総立ち、「オーレ―、オーレ―」と大声を挙げる。
スター闘牛士は得意のポーズを取る。
英雄誕生だ。
極真館の大山倍達氏がメキシコの闘牛場で、
空手で戦った話があるが、素手では倒せないと思えた。
数日後、闘牛を育てている牧場に行って
オーナーのスター選手と、スターを夢見る若者に会ったが、
若者はゴルゴ13のようなハンサムボーイであった。
一年間で殺されるブルは2万頭。
これらはハンバーガーの肉になるらしい。
闘牛士は一試合で5万ドルから10万ドル稼ぐスターもいる。
「これが文化なら、日本がクジラを食べるのも文化だ」と
心の中で叫んでいた。
スペインでも闘牛を野蛮な行為、
動物の虐待として廃止する意見が強くなっている。
見学できたのは良い機会だったかもしれない。
<By 浅野秀二>