地中海クルーズ(3) トルコ編
カルフォルニア州と同じで地中海は、
冬場は雨季、海も荒れ、雨と曇りの日が多い。
地中海クルーズはシーズンオフ、1年で旅費が一番安い。
さて、ギリシャからトルコまでの距離は一晩かかった。
トルコ第二の都市、人口600万のイズマー(イズミル)の港町に到着。
背地に見える山(約2400メートル)には雪が積もり、
雨と霧が立ち込めていた。
傘を持って出かける。
やがてなんとか晴れ間が覗いてきた。
ガイドさんは男性だった。
英語がうまく、10分もたたないうちに
彼の洗練された話ぶりに、知性を感じた。
フロリダの大学で歴史学の博士号を持っていると言う。
発展途上国ではガイドは超エリートの仕事だ。
彼の説明によれば、トルコ経済は絶好調だと言う、
EUに加盟した隣の国、ギリシャは破産状態で、
ポルトガルも厳しいとのこと。
「わが国の通貨は安いので、世界中から観光客から押しよせ、
アメリカやEUの投資家が不動産を買い漁り、
世界の製造業がトルコ進出をし始めている。」
考えてみれば、経済の遅れたギリシャやポルトガルが、
ドイツやフランスと同じユーロになったことで、
不動産や、賃金が高騰したわけだから、
不景気になるのは当然だ。
彼曰く、トルコはEUに入る必要はないと言い切った。
この発言から考えると、地球規模の経済社会になった今日、
為替政策が決定的に国家の経済的運命を
左右することを感じざるを得ない。
日本の過去20年の不景気は税制や政治改革では
問題解決が出来ないことがわかる。
為替が一番大切だ。
円高で製造業は瀕死の状態だ。
トルコとエジプトで、
イスラム社会を感じようと思ってやってきたが、
トルコ・ツアーは期待に反して、
ギリシャ文明のエフェソス遺跡と聖母マリアが
晩年住んでいたという教会につれていかれた。
期待したイスラム的なるものはどこにも見られなかった。
大いに失望する。
やはりイスタンブールに行かないと、
トルコ的なものは見れないのか?
ここはイスタンブールから西へ、680キロの位置にある。
古代エフェソス遺跡は東洋と西洋が重なるイオニア文明で、
紀元前2000年ごろから存在し、
最盛期には25万人が住んでいたと言われる廃墟の街だった。
ポンペイの2倍もあり、古代においてエジプト人は
世界6不思議の一つと記録した。
アルテミス神殿などがあった。
エフェソスの遺跡はどれも壮大である。
王の足が地球義を踏みつけて、
彼が支配者であることを示す石碑があった。
これは紀元前に、地球がすでに丸いということを、
彼らがすでに知っていたことを示している。
その後、如何にキリスト教文明が
古代のギリシャ、ローマの知性を否定していたかの証明でもある。
その他、面白かったことは、
世界で初めての広告と言われる女郎屋への道しるべとか、
靴のナイキが名前を取ったと言われる同名の女神像
スターバックスのロゴにつかわれている
メドゥサの女神像などがあった。
アメリカやヨーロッパで今でも、病院や薬局の目印になっている蛇の絵など、
多くの物が現代でも使用されていることは、
それだけ後世に影響を与えた文明だと言える。
この遺跡の説明、地図などの立て看板は、
韓国のサムソンが寄付で作られていた。
彼らのたくましいフロンティア精神に感銘する。
イスラム的なるものは、
明後日のエジプト訪問までおあずけとなった。
見学したトルコは山が多く、
盛んに農業がおこなわれ、
日本的の風景ににて非常に親しみを感じた。
必ず帰って来よう。
帰りにじゅうたん直売所に連れて行かれ、
3人のアメリカ人が数千ドルの買い物をした。
アメリカ人は、まだまだお金持ちらしい。
浅野秀二
12月24日