富士山登頂
今年、桜の季節、
6名のアメリカ人を日本に連れて来た時。
新幹線から富士山を見て登頂をしたことがあるかと?聞かれた。
2年前にも同じことを聞かれている。
日本に駐在体験のある米軍関係者の多くからも
「富士山に登頂した」と、いやになる程聞いてきた。
子供の頃から雑誌や浮世絵で見た富士、
万葉集に歌われた富士のお山、
「背比べ」の歌詞が自然と出てくる。
まさかあの高いお山のてっぺんまで登ろうとする自分を、
子供の頃は想像もしえなかった。
それは御伽噺の世界、もっと神聖な世界であったような気がする。
アメリカ人に刺激された。
今年は仕事が暇で、絶好のタイミング、時間がある。
体力と気力の挑戦をしたいと考えた。
対象は何でも良い。
富士山に登ろう。
思ったことは、すぐ行動する事にしている。
なぜか?それは動くと必ず色々な気づきがある。
それが私の快感だ。
年間25万人も登っている富士山。
老人やオバチャマも多いと聞いている。
運動靴に半ズボンですいすい登り、走って下ってやる。
そのような意気込みであった。
メールで8月中旬、
結城さんと、日本セルコの平会長も登られたと知った。
何か不思議な縁である。
話を伺うとかなり覚悟が必要な行動のようである。
登頂予定を聞いた両親からも電話が何度も掛かって来た。
「大雪山のこともある、慎重に準備、行動をしろ」
両親は私が石橋を叩いても渡らない慎重な性格を知っている。
だからあらゆる行動に最終的に賛成をしてきた歴史がある。
登頂2日目前、せめて用具は準備を完璧にしようと動いた。
1万円もあれば十分だと思っていたが、これがけっこう高い。
最終的には4万円以上掛かる計算になった。
ケチな私には大決断だった。
私の計画を聞いた、「むすんでひらいて」の原田社長御夫妻が
一緒に行動してくれるという。
旅は道づれ、これは楽しくなりそうだ。
新宿西口集合団体でバスに乗る。
富士山5合目、約2200メートル、下界が美しく見える。
快晴、雨も霧の予定も無い。
中国語、韓国語、英語、ドイツ語。
外人が非常に目立つ、富士山は世界の山だ。
ところが、世界遺産には登録されていない。
それはごみが多いこと、自衛隊の演習場が問題で拒否されたと聞いた。
私は世界遺産登録など、どうでも良いと思っている。
登録された何百分の一になるより、
孤高を守ったほうが宣伝価値があると信じる。
それより観光客の増加、
特に中国人観光客の激増で将来はパニックになり、
登山者数の制限の日が来ると思っている。
豊かになる13億人を軽く見てはいけない。
若くて美しい女性が多かった。
いや、男もオバチャマもみな健康的で美しかった。
自然の中にいると、人は美しく輝く。
これは素晴らしい発見であった。
ガイドは言った。
「笑顔は今だけです。帰りは感情の無い顔になります。」
帰りも女性が美しく見えるほど、私の心に余裕があるか?
さあ、挑戦だ。
まず、先のことは考えないようにする。
目先の一歩一歩を踏み出す、これの繰り返し。
何合目? なぜこんな苦しい? 馬鹿な挑戦をしたか?
などと自然と考えるが、
出来るだけ雑念を払って、夢遊病者のように歩いた。
若い人は軽快な足どりだ。
特別彼らが体を鍛えて来たとも思えない。
やはり若さは、すごいこととあらためて感銘。
8合目近くなると疲れ果てて、足が前に出ない。
砂利に足を取られて、バランスを崩す。
美しい景色は目に入るが、心には入らない。
やがて8号目の山小屋に到着。
食事を終えたら、直ぐ眠った。(夜の8時ごろ)
翌日は朝の1時過ぎに起床。
ご来光を目指していよいよ2日目の登山開始。
睡眠のお陰で体力は十分回復したと思っていたが、
1時間ほどでバテテいる。
なんとか、朝の4時についに登頂成功。
何の感動もない、涙も、感激もない、だだ疲れ果てた。
ご来光を待って座り込む。
山頂は祭り広場のような騒ぎで、
足の踏み場もないほど混雑している。
これが夢でみた富士山頂??
確かに下界を見れば、高いところにいるようだ。
一時間後、空が赤く色づいた。
遠くが明るくなってきた。
「オーッ」とどよめきの声。
ついに富士山頂でご来光を見ることが出来た。
後で聞いたが、我々のように、ご来光を拝む事が出来る幸運な人は、
お天気の関係で30%程度しかいないと聞いた。幸運である。
2日間かけて登った道を、これから一気に下る。
下山の方が難しいと聞く。
今回の総選挙でも感じたが、
下山に失敗した多くの自民党大物代議士がいる。
登るより、下る人生が難しい?
何とか、下山出来た。
「足手まといになりますが、よろしく」と挨拶のあった、
原田さんの奥さんは、我々より30分以上も早く到着をしていた。
奥さんは只者ではない。
いや、2人の男が単にだらしがないだけか?
最後の30分は馬車に乗った。
5合目でこれから登るたくさんの笑顔にあった。
「可哀想な人たちだね?」
彼らのこれからの苦労を考え、
我々は無事に登頂を終えた余裕の顔で笑った。
(その後雨が降ってきた。台風の影響だ。本当に私達は幸運であった。)
浅野秀二
2 件のコメント
浅野先生、富士山登頂おめでとうございます。
結城先生の登頂blogとはまた違った景色やご来光、
独特の視点からの感想を楽しく読ませていただきました。
最後の「可哀そうな人たちだね」のコメントには、爆笑しました。
この秋の商人舎アメリカ研修会では、
浅野先生と結城先生お二人、富士登頂話で大いに盛り上がることでしょうね。
本当にお疲れ様でした!
コメントありがとうございました。
体力の無さを感じました。
次回はキリマンジャロ挑戦?
でもアフリカも行ってみたいですね。
そこに山があるから、登るそんなカッコいい事を
何時か、言ってみたいと思います。
ありがとうございました。