アルバートソン(スーパーバリュ)
東電の清水社長の福島原発事故に関するスピーチを聞いて、
あまりの頼りなさに、日本国民は絶望し、あきれ果てた。
これが日本を代表する大企業の社長である。
誰かが言った、「彼らは現代の公家さんですから…」
アメリカでも、過去データと分析に頼ってばかりいる
現場経験のないMBA出身の経営者が、
アメリカ企業を駄目にしたという説がある。
オラクル創業者、ラリー・エリソンは大学中退が自慢だ。
マイクロソフトのビル・ゲイツ、
iPadで今、大躍進しているアップルの創業者、
スティーブ・ジョブスも大学を卒業していない。
今は中国も受験が花盛りで、共産党が否定してきた科挙の復活だ。
欧米からの学びの過程が終われば、日本のようにまた衰退が始まる。
これがアジアの宿命なら、日本がこの因果を断ち切って
先に模範を示さないといけない。
さて、アメリカの企業業績は著しく改善し、
雇用も多少回復してきた。
株価は高騰している。
これに住宅価格の下落に歯止めがかかれば、万万歳だが。
ガソリンの値上がりと、国の財政赤字が気になる。
残念ながら、小売業の業績・株価は、
別の世界のようにけっして良くはない。
2007年に$49.67をつけたアルバートソン(スーパーバリュー傘下)
の株価が$7.79まで下がった。
私の視察では、もう何年もアルバートソンへは行っていない。
普通のスーパーだが、視察するほどの魅力は感じられないのだ。
しかし、いまでも3兆3000億円を売り上げるスーパーの超大手だ。
株価$7台は安すぎる。
2006年にAlbertsonsをはじめ、Jewel-Osco、Shaw’s、
Acme、Cub Foods、Save a Lotなどを買収したスーパーバリュー社は、
新たなる6000億円の負債を抱え込んだ。
低価格路線のアルバートソンは、彼ら以上の低価格の仕組みを持つ、
WalmartやCostco、Targetの挑戦の前に、なす術がなかった。
10四半期にわたり、既存店売り上げを10%落としていった。
2009年、WalmartのベテランMr.Craig Herkertを引き抜き、
新しい経営チームでの挑戦がスタートした。
2011年の1月に終わった第3四半期の利益は、
市場の期待より7セント少ない、
1株当たり23セントの利益だった。
次の四半期それより悪くなると予想されている。
しかし、会社のキャッシュ・フローは引き続き黒字、
負債も2年で1700億円返済し、あと残りを7100億円とした。
今年も700億円の新規投資の計画もある。
新社長Herkertを中心とするチームは、
昨年100店舗閉め、人件費を10%カットし、
全体のコストを8700億円から7600億円まで落とした。
スーパーバリュー社は、食品卸と小売業を兼ねており、
スーパーマーケットのアルバートソンを1140店舗、
超ディスカウントのSave A Lotを1230店舗、
その他小型の店を1900店舗経営しており、
年間収益は300億円ある。
特にSave A LotをWalmartの及ばない大都市圏において、
5年以内に店舗数を2倍に増やす計画である。
競争相手は1ドルショップや、
小型で価格の高いパパママ・ショップとなるだろう。
プライベート・ブランドの圧倒的低価格と、
生鮮の青果、肉、乳製品で
年収4万5000ドル以下の所得層
(政府のフード・バウチャーも使用可能)に食い込む計画だ。
Save A Lotの投資効率は、アルバートソンより30%も高い。
一株当たりの利益は年間$1.29が見込こまれる。
だがローコスト・オペレーションで、
安く売る仕組みだけでは今の市場では勝てない。
何か差別化をする方法があれば良いのだが、それは本当に難しい。
それにしても株が安すぎる。
Mr. Herkertのウォルマートでの現場経験と
Save A Lotに賭けて、思いきって株を$8.30で買った。
2週間後に$11.25になった。
安物買いの銭失い?の私の性格は、これは治らない。
$15になれば、視察先に入る予定だ。
そこまで業績が回復するか?
ちなみに4月後半に業績発表にあったSafewayの
四半期利益は25億円で、
一株当たり、四半期7セントしか利益を出していない。
株価は3年前と比較して23%下がったが、それでも$24である。
Whole Foodsは2008年12月には$9.41だったが、
今日現在、$62を付けている。
残念ながら底値から7倍になったWhole Foodsの株を買うほど、
勇気もなければ、金持ちでもない。
私は、Safewayを買うより、
Supervaluの値上がりの可能性を見たのだ。
店舗の写真を撮りにサンフランシスコ中を走ったが、
ほとんどの店はSave Martに買われ、
昔の馴染んだLuckyに変わっていた。
かつてこの地区で29%のシェアを持っていた
アルバートソンが無いのである。
一ヵ所のみ、北カリフォルニアで新規開店真っただ中の
Fresh & Easy Neighborhoodの店になっていた。
まだ開店していなかったが。
アルバートソンの写真はロスで取るしかないのか…?
寂しい気がする。
浅野秀二
5月6日
2 件のコメント
アルバートソンの店名はシスコにはなくなったのですね。
さびしい限りです。
浅野さんがセイブ・ア・ロットの株を買われたとはびっくりマークです。
セイブ・ア・ロットもスーパーバリュに買収されたのですか。
業績がいきづまっていたのですかね。
テスコのフレッシュアンドイージーはシスコに展開をはじめたのですか。
アメリカの流通業は次から次と激しく変化をしてゆくのがレポートからもわかります。
コメントありがとうございます。
買った株はスーパー・バリュー(アルバートソンもセーブアロットも同じ会社)
久しぶりにアルバートソンをラスベガスで見たのですが、
ひどい店でした。
反面教師としての視察はあり得るでしょうが、
それ以外で行く理由は難しいですね。
シスコ周辺にないのは、不思議な気がします。
世の中・小売業もすごい勢いで変わっていますね。
自分が変わらないと、世の中の変化がわからない。
成功体験に酔った日本が世界から精神的に取り残されていくのが
一番気がかりですね。
勇気を持って変化を見据えて欲しいです。
福島原発事故は、被害にあった日本こそ、原子力を支配する能力を持てと
神のメッセージに聞こえるのですが、これも変化をする勇気がない、
石頭のせいでしょうか?