政治に関心を持たないと? ~不況下のスーパー経営~
最近ブログを書いていない。資料を提供してお茶を濁している。
実は書いてはいるのだが、掲載していないのである。
それは政治的な話題にどうしてもなってしまうから。
性事(?) の話題に心が行くほど正直、余裕がない。
もちろん、流通やスーパーのことを書くほど呑気な気持ちになれない。
政治が混乱すると国民や経営者がどんなに頑張っても、すべてが水の泡だ。
以前、渡辺謙がテレビで、硫黄島の映画を撮影した時に、
「なぜ日本は勝ち目のない戦争に突入したのか?」
を徹底的に勉強したが、最後まで解らなかったと語った。
あの時代はあのような結末になるなど、
誰も予想をしなかったというのが、
正直な事実ではないかと私は思っている。
小さな間違いの積み重ねがあの大惨事を招いた。
そして今、平和の中で同じことが起こっている。
毎日、小さな政治的な間違いが繰り返されている。
企業体力がこの20年で急速下がっている。 法人税が高すぎる。
日本は40.69%、韓国は24%、世界の平均は25.9%。
さらに派遣労働の禁止、排出ガス削減、あの世界一を誇った
製造業は海外に移動せざるをえない。
円高阻止こそ優先事項だ。
また国家の安全保障はローカルな問題を優先させられた。
それよりおかしいのは国会に7名しか議員を送り込んでいない政党の
論理を優先する。連立だから?
日本の事情をオバマ大統領に理解してもらう?
民主主義を否定する論理に、彼は理解も同情もしないだろう。
少数の苦情をいう人に日本の政治も小売も弱い。
原則なき社会だから、理念をきちっと持たないと21世紀は、
国も会社も生き残れない。
安全保障への考えには、中国の影が日本の進路に
大きく影響していると考えるべきだと思う。
アメリカもミサイルが届かない(?) グアムへの移転は、
日本を守る意思をなくしたということだ。
どこまでごねれば金が取れるかの話になりつつある。
子供手当も悪いことではない。財源があればの話だが。
私の経験では、奨学金支給日の大学付近の
飲み屋とパチンコ屋はいつも満員であった。
私も友人も4年間の奨学金のほとんどはパチンコですった。
アメリカは貧しい人にはフード・スタンプと言って、
食品しか買えない券を発行している。
これなど、まだましなアイデアと思う。
私ならフード・スタンプさえ質屋に持って行きそうだ。
また、自分のレベルでものを考える、悪い癖だ。
フード・スタンプを褒めたからと言って、
アメリカの政治が良いなどとは言っていない。
2つの戦争を同時に戦うアメリカにはもう金がない。
オバマ大統領の目指す国民皆保険も、誰が払うのか決まらない。
この国にはドル印刷機以外の金を生む出す力はない。
以前のように消費者が買い物を出来るような世の中でなくなった。
中国の為替政策で世界の雇用は中国へ向かう。
これを世界は過小評価している。
さて、10月に入ってアメリカも急速にデフレが進行して来た。
すべて価格、価格、価格となって来た。
セーウェイもウェグマンズも価格を下げた。
ウェグマンズは鶏肉関連を7%、豚肉26%、牛肉17%、
ミルク11%、ブレッド 22%も下げた。
高質なスーパーの雰囲気が急速に失われてきた。
ホール・フーズも低価格に挑戦中だ。
不況下のスーパーには5つの大きな動きを感じている。
Everyday Low Priceの絶対的強さである。
それはすでにウォル・マートの専売特許ではなく、
集客力のある店のほとんどは(1)Everyday Low Price(ELP)であった。
例:Winco, Trader Joe’s, Berkeley Bowl, Fresh&Easy, Aldi,
Walmart Neighborhood Market, HEB, Costco,
Super Target, Stew Leonard’sなど。
もちろん、Whole Foodsもチラシに頼らず、比較的高価ではあるが、
自然食・有機、こだわり商品ではELPとも言える。
最優秀スーパー、Wegman’sもすでに2001年から
コンシスタンス・プライス(ELP)となっているし、
Safewayも北カリフォルニアの235店舗で現在ELPをテスト中。
この他、Raley’sも食品最大手のKrogerも厳密な意味でハイ&ローではない。
彼らはELPとチラシの両方をいかにうまく組み合わせるかに苦心をしている。
(2)プライベート・ブランドの強化こそ、成功の命運を握っていると言える。
Trader Joe’sのPB比率は90%、Aldi も95%と言われている。
Fresh & Easy も60% を越えた。
Krogerは 27%, Walmartは数年以内に26% から40%に 、
Safewayは外販できるほど成功したPB、有機のOとEating Rightを育てた。
CostcoのPB、Kirklandは食品、日用品雑貨、サプリメント、
高品質ながらバリューを提供している。
差別化、低価格化には必須となっている。
3)青果部門の重要性だ。
不況で価格抵抗力があるのは青果が一番だ。
圧倒的ボリューム感、工夫された陳列、新鮮かつエスニックで多品種な
オーガニックの青果など、健康意識の高まった消費者にアピール。
カラフルな陳列や新鮮さこそ、差別化にもっとも有効な手段である。
青果の売上構成比30%もあるというBerkeley Bowlを筆頭に
Whole Foods, HEB, Central Market, Sprouts Farmers Market,
Sunflower Market, 韓国系のH Mart、ニューヨークのFairway Market、
Walmartの新業態 Supermercado DE Walmartなど、
ヒスパニック系向けのスーパーの青果売り場が壮観だった。
見学者一同からどよめきがあがった。
フェニックスに行く方は、一度は見ていただきたい。
もちろん、芸術的センスの青果売り場ではNugget Marketが一番。
これには誰も感嘆、感銘、初めて見た人は言葉を失う。
いずれも店舗の顔、それが青果売り場である。
(4)フード・サービス(Meal Solution,デリー部門・惣菜)部門の重要性だ。
これは反論があろうかと思うが、世間ではEating at Homeの動きに時代だ。
しかし、高齢化社会、料理の作り事方をしらない世代、共稼ぎ家庭の増加、
テレビ、ネットで一家団欒を失った今の社会は、外食産業・レストランに
行けなくても、外での食事、中食の場が必要だ。
食事の提供こそ、21世紀型のスーパーと考えられないか?
定年を迎えた、稼ぎの無い亭主に料理を作る奥さんはいない。
そもそも主婦は、子供のために料理を作っていた。
亭主のためではなかった。
この仮説なら、スーパーのフード・サービス化は避けれない。
Central Market, Market Street, Whole Food Market(NYCとAustin店),
Wegman’sは、いつ来てもたくさんの人が食事に来ている。
Berkeley Bowlの新店は大幅にこの部門を強化、
たいへんな成功をもたらしている。
Nugget Marketもそれなりに頑張っている。
食事に来た後の「ついで買い」は65%にもなる。
最後は(5)ES とCSを挙げたい。Employee Satisfaction従業員満足と、
Customer Satisfaction顧客満足だ。
従業員満足こそ顧客満足を達成するのには必須。
不幸な虐げられた社員では、顧客を喜ばせない。
これは不況の中でも決して忘れてはいけない。
早く政治的混乱を抜けて経済成長へ舵を取ってほしい。
日々の戦術も小売業には必要だが、
誰もが恩恵を受ける経済大国への国家戦略が必要だ。
それが小売業繁栄の基礎だ。
政治に物申しましょう。
浅野秀二
12月12日