流通視察、今日このごろ
インドに行くと人生観が変わるとよく言われる。
自分にはそこまで大げさな変化はないが、
あの凄まじいまでの貧困と環境をみて、
多少は変わったこともある。
日々への感謝である。
食べ物があって、住む家がある。
青い空に、きれいな空気、清潔な水。
なんて幸運で幸せだと思うようになった。
その上、美味しいワインまである。
先日、バークレー・ボールで8カ月の研修を終えた安島秀城くんが、
カリフォルニアの高級ワイン、オーパスワンを持ってやって来た。
帰国前日、アメリカでの最後の夜、浅野さんと飲もうというわけだ。
彼とは親子以上の年の開きがある。
でも考え方が非常に合った。
その上、山登りの友達でもあった。
日本での健闘を祈りたい。
さて、1月18日から2か月以上、数日を除いて連続の出張だ。
仕事がちゃんとある。
文句はない。
ないのは???だけ。
賢明な読者の方には???とは、
どの文字を入れるのがふさわしいか?
ご自由に想像をお願いしたい。
馬上で死ぬのが男の逝き方だとモンゴルでならった。
そこまで勇ましくはないが、
せめて病院や畳の上では死にたくない。
さて本題に入ろう。
視察をしていて、最近の店舗で顕著に気づくことがある。
どこもワイン売り場が非常に広く、種類も多くなってきているのだ。
ホールフーズのワイン売り場の充実ぶりはすごい。
サンフランシスコ周辺に展開しているスーパーマーケット、モーリーストーン。
ここのワイン売り場でも、ワインが天井まで並べてある。
また、青果売り場と冷凍食品が非常に充実している。
それが一番顕著に表れているのは、やはりトレーダージョーだ。
ラスベガスの小型店舗の青果売り場の拡大は非常に印象に残った。
また、昨年11月29日にサンフランシスコで開店した
最新のトレーダージョーの冷凍食品売り場は圧巻である。
もちろん、ワインの種類はますます拡大している。
さすがトレーダージョーだ、世の中の変化をよく察知している。
最近、冷凍食品の進化という記事が出ていた。
1984年のアメリカでは、
72%の人が生の素材から料理を作っていたが、
2011年にはそれが59%にまで減少している。
冷凍食品よりも家庭料理のほうが
栄養価が高いという神話はくずれた。
冷凍保存の技術は向上している。
冷凍食品の野菜や果物は収穫後、すぐに冷凍されるため、
新鮮さも栄養価も損なわずに安価で販売できると賞賛された。
FDA (アメリカ食品医薬局) からも
“栄養価にはなんらの違いはない”とお墨付きを貰っている。
ちなみにコストコも冷凍食品が非常に多い。
アジア人好みの冷凍食品が特徴だ。
日本でもワインの売上げが伸びているということもあり、
今年の視察旅行にはワイナリー視察が入ってきているのが特徴だ。
2カ月ほどで6回もワイナリーに行っている。
一番勉強になるのは、ナパのワインの父と言われる、
ロバート・モンダビ社のツアーである。
この会社が初めて、
観光ツアーとワイン、芸術、料理、音楽を結びつけた。
ぜひ、ここを訪問試飲して、
カリフォルニア・ワインを勉強していただきたい。
日本ではいまだにフランス・ボルドー産が
一番だと信じられているが、
2006年ロンドンにて行われたフランスとアメリカの
試飲会の勝負では、上位5社すべてカリフォルニア産だった。
第1位 リッジ・モンテベッロ 1971年(CAL)
第2位 スタッグス・リープ・ワインセラーズ 1973年(CAL)
第3位 ハイツワインセラーズ・マーサズヴィンヤード 1970年(CAL)
第4位 マヤカマス 1971年(CAL)
第5位 クロ・デ・ヴァル1972年(CAL)
1位のリッジ・モンテベッロは
日本の大塚製薬が所有している。
2008年の洞爺湖サミットでは、リッジのワインが使われた。
リッジ・モンテベッロはシリコンバレーの
標高690メートルの山の上に位置しているため、
残念ながら、大型バスは入れない。
フランスは永遠にカリフォルニアのナパワインには勝てないだろう。
それはナパの気候と土壌には勝てないからだ。
ナパは最良のワインを造るのに最適の地なのである。
カリフォルニア・ワイン=ナパ産と思われているが、
実はナパ産はカリフォルニア産の5%しかない。
だからナパ産ワインは高値となり、ナパのワインが飲めるのは幸運なのだ。
ナパの近くに住んでいることにも
感謝する日々である。
<By 浅野秀二>