「惣菜に、とんがれ、こだわれ。」
すごくおいしいものは、
そうそう簡便に食べられないし、
総じて体によろしくない。
すごく便利なものは、
これはあまりおいしくはないし、
ときに体によくはない。
体にいいものは、
たいていそれほどおいしくはないし、
そんなに便利にはできていない。
そして、おいしくて、便利で、
そのうえ健康的なものは、
きまって高い。
「三律背反」とでもいうか、
「四律背反」となるのか。
オクシモロンの課題が降りかかる。
それが今日のニッポンの惣菜だ。
アメリカのサービス・デリだし、
ヨーロッパのデリカテッセンだ。
トレーダー・ジョーは、
美味しくて健康的で安価だが、
品揃えの便利さを思い切り犠牲にしている。
ホールフーズは、
完璧なマーチャンダイジングを構築し、
マインドシェアを高めて高価格帯に胸を張る。
ロック・フィールドも、
「少し高い」ことを勲章にして、
この難題のソリューションを図る。
つまり、「四律背反」には、
どれかを捨てるしかないということだ。
そしてそれが惣菜のソリューション戦略となる。
いずれかの要素を切り捨てる。
それはその要素にこだわる顧客を捨象して、
客層を絞り込むことになる。
まさにセグメンテーション、
ターゲティング、
そしてポジショニングの戦略。
惣菜のソリューションは、
このポジショニング戦略を、
象徴する営業行為だ。
だから惣菜に、
とんがれ、こだわれ。
いずれかを丁寧に捨てよ。
<結城義晴>