売れることと見つけたり
「死ぬことと見つけたり」
佐賀鍋島藩の「葉隠」にある。
常住坐臥、死と隣合わせに生きる。
しかし「葉隠」を伝えた山本常朝は言う。
「我も人、生くることが好きなり」
これも真実だ。
ならば商人は、
「売ることと見つけたり」だが、
「売らぬことも好きなり」でもある。
ピーター・ドラッカーは言う。
「マーケティングの理想は、
販売を不要にすることである」
「マーケティングが目指すものは、
顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、
おのずから売れるようにすることである」
すなわち、売ることでなく、
売れること、つまり、
無理に売らぬこと。
では、どうするか。
知らせること。
伝えること。
古いチラシ広告も、
新しいフライヤーも、
スマホ・アプリのミニブログも。
わかりやすく、ていねいに、知らせること。
誠心誠意、面白おかしく、伝えること。
そして謙虚にお奨めすること。
店や売場ならば、
近寄りやすく、見やすく、選びやすく、
手に取りやすく、戻しやすく。
チラシやネット画面ならば、
手に取りやすく、アクセスしやすく、
見やすく、選びやすく、買いやすく。
売ることと見つけたり。
売れることと見つけたり。
それが商売である。
〈結城義晴〉