創意を尊びつつ良いことは真似よ
創意を尊ぶ。
良いことを真似る。
その両方を行きつ戻りつしながら、
創造と模倣を進化させる。
これこそイノベーションである。
あるとき、
私は気づかされた。
故倉本長治は、
古き良き、美しき日本語を使って、
イノベーションを教えたのだ。
その倉本長治が創設した㈱商業界が、
2020年4月2日、
自己破産を申請して倒産した。
ずっと前にイノベーションが止まって、
そのコンセプトを信条とした会社が潰れた。
歴史の皮肉が顔を出したのだろうか。
企業存続の鉄則が貫かれたのだろうか。
見えざる神の手が働いたのだろうか。
時代がそれを要請したのだろうか。
はたまた自壊だったのだろうか。
ドラッカーが説くイノベーションとは、
新しい、より大きな富を生み出すことである。
ここでいう「富」とは「人々の幸せ」である。
そして人々の幸せを願って仕事をする限り、
会社や店が潰れることはない。
真似ることはイノベーションの一面である。
しかし誰も真似できないほどの真似ができれば、
それはおのずと創意を生み出すことになり、
その創造と模倣とが「模倣困難性」を創出する。
そしてこの模倣困難性が持続的競争優位を約束してくれる。
〈結城義晴〉