見えないものを見る。
目に見えるものは変えやすい。
目に見えないものは変えにくい。
人間の性(さが)か、商人の業(ごう)か。
私の欠点か、あなたの弱点か。
目に見える売場はすぐに直す。
目に見えないバックヤードはいつまでも汚い。
目に見える廃棄ロスは許せない。
しかし目に見えない機会損失は関知しない。
もちろん目に見えるものさえ、
手が付けられないほど忙しい。
だから目に見えないものなど、
いっさいお構いなし。
それが小売り現場の実態かもしれない。
競争激化がそれを助長させたかもしれない。
人手不足がその言い訳となったかもしれない。
コロナ禍がそれを許してくれたかもしれない。
世界中のフードロス。
目には見えない。
しかしそこに思いを致す。
ジョン・レノンのごとく想像してみる。
頻繁に現場で生まれる不明な損失。
これも目に見えない。
けれどそれを見える化し、探求する。
全体最適のなかで好循環を生み出す。
目に見えないものを、
見えるようにする。
隠されたものを、
みんながわかるようにする。
「とても簡単なことだ。
心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、
目に見えない」(星の王子様)
〈結城義晴〉