売り切れ!
君の店は品切れが多いなあ。
君の売場は品切れだらけだ。
「品切れ」はキラーフレーズだ。
もちろん品切れだらけでは店ではない。
だが半面、品切れは、
売れてしまった証である。
まったく売れなければ、
品切れはいっさいない。
万代の商売の鬼・山下和孝。
鮮度の悪い店では、
あえて品切れさせた。
夕方、わざと欠品させた。
すると毎日、商品が回転して、
徐々に鮮度がよくなっていった。
そこでクレンリネスをとことんやって、
いい品を安く売った。
いい品を安く売ると、また売れた。
そして品切れした。
それを繰り返して、
品切れギリギリの発注力が身についた。
鮮度のいい商品が、
品切れギリギリまで並んだ。
顧客の信頼が生まれて、
鮮度の悪い店が蘇った。
毎日、大晦日の商売をした。
年末際の緊張感で商売した。
売り切りに徹した。
鮮度は良くなり、信頼は高まった。
売り切ることこそ商売の王道だ。
だから品切れを恐れてはならない。
売り切って終わるのが、
商売の正道だ。
「売れ筋でロスを出せ」
売れ筋は絶対に品切れさせるな。
セブン-イレブンの鉄則だった。
しかしその時代は終わった。
サステナブルの時代。
売り切りこそ王道だ。
売り切れ御免は、
商売の正道だ。
だから提案しよう。
「品切れ」という言葉は使うな。
「売り切れ!」と言い続けよう。
毎日、大晦日の商売をしよう。
〈結城義晴〉