結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年02月24日(月曜日)

Formatの「ショウジョウバエ現象」と立教「結城ゼミ3期生」の会

正月を除いて、
今年二度目の三連休。

最初が成人の日の三連休。
今回は天皇誕生日の三連休。
ただし振り替え休日は、
ただの休みであって、
それ自体意味はない。

体の疲れはとれた。
しかし眠くて仕方がない。

これが時差ボケなのだろう。

ニューヨークでは都合8回、講義した。
ザ・ニューヨーカーの3階の会議室。
朝7時に始まる。
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それぞれ2時間の枠。

それでも足りないので、
バスの中でマイクを握って語り続ける。
午前9時から午後6時まで。
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これが私の米国研修スタイル。

観光スポットに来ると、
富澤由紀子さんにマイクを譲って、
ガイドしてもらう。

ときどき浅野秀二さんにも、
語ってもらう。
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みんな楽しそうに聴いている。
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テキストは199ページ。
その大半を説明する。

講義でも車中レクチャーでも、
脱線が多い。

何かを説明していると、
それに関連する内容が、
頭に閃く。

そしてその説明に入っていくと、
また連鎖する内容が浮かぶ。

しかしそれが面白いらしい。

店舗を巡るときにも、
みんなを引き連れて売場ごとに説明したい。

しかしそれを店側が一番嫌がる。
団子になってぞろぞろと売場を歩くと、
何よりも顧客の買い物の邪魔をしてしまう。

アメリカの優れた店は、
ショッピング・エクスペリエンスを提供している。

それを阻害してはならない。

視察する側は各自が自分の眼で見て、
自分で買い物をして、
体験してもらいたい。

だから売場での解説はほとんどしない。
2、3人に対して適宜説明することはある。
質問を受けることもある。

それ以外の時間は私も観察を続ける。

必ず発見がある。

それが私自身の勉強や情報収集にもなる。

座学講義の中で最後に強調するのが、
フォーマットの概念だ。

ロピアは業種から始まった。
肉の宝屋藤沢店。

それが業態となった。
ユータカラヤ。

そして素早くフォーマットをつくった。
ロピア。

故人となったクレイトン・クリステンセンが、
『イノベーションのジレンマ』の冒頭に書いている。
原題は「The Innovator’s Dilemma」
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ショウジョウバエは1日のうちに、
受精し、誕生し、成長し、死に至る。

つまり超短期間で結論が出る。

クリステンセンは、
短期間に変化を遂げるイノベーション現象を、
ショウジョウバエの一生に喩えた。
そしてこれに似た現象を研究した。

ロピアはそんな変化を遂げて今に至る。

拙著『コロナは時間を早める』では、
「コロナ禍はショウジョウバエ現象だ」とも解説した。
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「フォーマット」は、
「業態が分化したさまざまな形」である。
神戸大学名誉教授の田村正紀先生の持論。

私はこの「フォーマット」を使って、
店舗づくりのイノベーションを説明している。

「新業態」と呼ばれるものは、
たいてい、新しい「フォーマット」である。
業態の分類の中の自社独自の「ビジネスモデル」である。

業態は一つのビジネスジャンルに共通したもので、
それぞれに5兆円、10兆円の規模をもつ。

クローガーもウェグマンズも、
ホールフーズもトレーダー・ジョーも、
スーパーマーケット業態に分類される。

しかしそれぞれに、
個性的なフォーマットを展開している。

ライフコーポレーションもヤオコーも、
ヨークベニマルもサミットも、
万代もロピアも、
スーパーマーケット業態である。

そのなかで独自のフォーマットをつくっている。

田村先生は書いている。
「小売業の進化や盛衰の動態を、
業態とフォーマットという
二つの水準間でとらえる
『二階層分析』が必須である」

さて今日は昼間はゆっくりして、
夕方、代官山に出かけた。

ちいさなイタリアンレストラン。
「オステリアウララ」
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メニューはその日のおすすめの食材を書いた黒板だけ。
IMG_0721 (002)

気分に合わせて自分で選ぶ。
決まったメニューから選ぶのが「業態」だとすれば、
自分でメニューを選択できるのが、
「フォーマット」だろう。87480950

立教大学大学院の結城ゼミ3期生の集まり。
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左から山口毅さんと朝川康誠さん、
それから岡本あゆ子さん、佐藤康裕さん。

みんなマスターをとってから12年が経過する。

それぞれに成長し、仕事に邁進し、
そのうえで社会貢献をしている。

見事な人生だと思う。

私は「人間万事塞翁が馬」の話をした。
このブログでも何度か書いた。
ロピア研修の講義のなかでも語った。

中国の「淮南子―人間訓」の故事。

北の国境に住む老人・塞翁。
飼っていた馬が胡の国へ逃げてしまった。

人々は塞翁を慰めた。
しかし翁は幸運をもたらすかもしれないと言った。

その馬はのちに胡国から、
りっぱな馬を連れて帰ってきた。

人々は幸運がやってきたと称えた。
翁はこれを不運の兆しだと言った。

その後、塞翁の子がその馬に乗っていて、
落馬して足の骨を折ってしまった。

しかし戦争が起こって、
多くの若者は戦場に行った。
そして戦死した。

塞翁の息子は怪我のために、
戦争に行かずに済んでしまった。

幸運と不運は次々にやってくる。
不運が原因となって幸運が訪れる。
幸運が理由となって不運に見舞われる。

その繰り返しだ。

振り返ってみると私の人生も、
そんな「塞翁が馬」だった。

結城ゼミ3期生の人生も、
「塞翁が馬」だった。

まだまだ希望をもって生きてほしい。
こう言い切るのはちょっと恥ずかしいけれど、
大事なのは「世のため、人のため」です。

ありがとう。

〈結城義晴〉


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