セブン&アイ「社長交代会見」と「ロピアのキャッシュレス化」

「今年はどんな年になりますか?」
1月の多くの賀詞交歓会で、
いろいろな人に問われた時に、
こう答えていた。
「今年度はM&Aの嵐が吹きます。
トップチェーンでそれが起こると、
ローカルチェーンに波及していきます」
私は預言者ではないし、
ピーター・ドラッカー先生も言っていた。
「予言はするな、モニタリングせよ」
だから観察していたら、
そういう結果になっている。
連日の緊急記者会見。
今日も午後になって、
セブン&アイ・ホールディングスから、
メディア説明会の案内が来た。
場所はセブン&アイ本社ビル1階会議室。
時間は17時から。
今日も山本恭広編集長が行ってくれた。
会見30分前には、すでにメディアが集まる。
セブン&アイ広報センターのスタッフから、
集まったメディアに対して、
会見の進行の事前のブリーフィング。
登壇者の入場から、スピーチ、質疑応答、
フォトセッションの各時間配分まで、
丁寧に説明した。
私は商人舎オフィスでオンラインで参加した。
冒頭で井阪隆一社長が語った。
退任が発表されているから、
多分、最後の会見だ。
井阪さんは3つのことを説明した。
①新しい代表取締役の選任について
②マネジメント施策
③スーパーストア事業の譲渡について
自身が務めた約9年間の施策の振り返り、
さらなる成長のために、
今回の意思決定がなされたことを説明した。
つまり今までと異なる施策のフェーズに入った。
それが代表取締役社長の交代の理由とした。
また、後任のデイカス氏については
小売業界の経験と知識が豊富であること、
米国、アジアに事業展開を広げていくなかで、
リードできる資質があること。
卓越したリーダーシップがあること、
きわめて真摯であることなどを、
選任の理由として挙げた。
井阪氏は特別顧問に就任する。
続いて新社長に就任するスティーブン・デイカス。
この最初のスピーチは全部、日本語で語った。
自己紹介から始めた。
「父親はセブン-イレブンの加盟店オーナーだった。
その店で子供のころから働いた経験があったが、
金曜と土曜の深夜シフトはいやだった」
「50年後、まさか父の店の親会社を、
経営する立場になるとは思わなかった」
とても率直で胸を打つ話だった。
さらに今後の経営の構想を説明した。
「企業価値顕在化への道筋」
この内容は商人舎流通スーパーニュースで報じた。
セブン&アイnews|
新社長CEOにデイカス氏、北米セブンを26年下期にIPO
⑴北米のセブン-イレブン事業を担う7-Eleven, Inc.(SEI)について、2026年下半期までの米国における新規株式公開(IPO)を目指す。
⑵SST事業グループを8147億円(53.7億ドル)でベインキャピタルに譲渡する最終契約を締結。2025年9月に譲渡を完了する予定。
⑶SEIのIPOおよびSST事業グループの非連結化によって回収される資本について、2030年度までに総額2兆円(約132億ドル)を自己株式取得の形で株主に還元。通常の事業運営から創出される利益の株主への還元に関しても、累進配当を行う方針。
⑷株主価値最大化のために、引き続きあらゆる選択肢を追求。特別委員会による検討状況についても状況を報告。なお、すでに発表の通り、セブン銀行株の保有比率を40%未満に引き下げ、連結範囲から除外する施策を今後も進めていく。
続いて質疑応答。
井阪さんには手厳しい質問もあった。
それでも肩の荷が下りたような印象で、
珍しく饒舌だった。
「やり残したことは?」
「…ありません」
「鈴木敏文さんには連絡したか?」
「電話でご報告しました。
ご苦労様と言ってくださった」
私は聞きたかった。
「セブン&アイ・ホールディングスに蔓延する、
大企業病をどのようにして払拭するつもりか」
指名されるはずもなかった。
NHKをはじめ大新聞の記者ばかり指名された。
デイカスさんは顧客、加盟店、従業員に、
率直に向き合うと答えていた。
それが回答だろう。
デイカス新社長には期待したい。
それから井阪さんには、
ご苦労様と言っておこう。
最後に一つ。
デイカスさんの通訳の女性は、
素晴らしかった。
さてもう一つのニュース。
OICグループnews|
ロピアでキャッシュレス決済導入/公式アプリにチャージ
3月4日の方針発表会で、
髙木勇輔OICグループ代表取締役社長が、
すでに社内には発表していた。
私もそれを聞いていて、
大いに納得した。
ロピアの特長は「原則現金払い」だった。
それを公式アプリへのチャージによって、
キャッシュレス決済ができるようにする。
クレジットカードの手数料は高い。
ロピアは「現金払い」にしてもらって、
その分を顧客に売価で還元してきた。
これからは「ロピア 公式アプリ」で、
現金、クレジットカード、銀行口座の、
いずれかの方法で事前にチャージしてもらう。
顧客はそのアプリで決済できる。
クレジットカード、銀行口座でチャージすれば、
システム利用料はかかる。
また1000円のチャージごとに、
OICグループオリジナルポイント「C(シー)」が、
100Cずつ付与される。
この「C」ポイントは、
特別な体験やアイテムと交換できるが、
換金/支払いに使えない。
九州エリアから順次導入を始めて、
本年度内に全国の店舗で対応する予定だ。
顧客が喜ぶ。
店員や店長も喜ぶ。
いまだに現金払いを採用している、
最大の会社がロピアだそうだ。
顧客と店員が喜ぶことは、
なによりいい。
〈結城義晴〉
4 件のコメント
デイカスさんの「その店で子供のころから働いた経験があったが、金曜と土曜の深夜シフトはいやだった」という原体験は、そんな単純な話ではないと思いつつも、思わず期待してしまいます。
吉本さん、同感です。
自分の演出はうまい経営者です。
しかし、まだ未知数ですね。
期待はしましょう。
セブン&アイのいや、日本の消費者を始め世界の消費者が期待をしているはずですからプレッシャーは相当な物でしょうね。井阪社長の肩の荷が降りた様な表示が物語っていますね。
しかし私も一消費者として大いに期待したいと思います!そしてロピアのキャッシュレスにも期待したいと思います!現場の声を反映した形になるはずですから従業員、お客様共にラブラブな関係を更に拡大できそうですね!
田邊さん、その通りですね。
セブンにもロピアにも期待できますね。