春分の日。
彼岸の中日。
両親の笑顔の写真に手を合わせる。
「まだまだ頑張ります」
木村芳夫さんのfacebookから、
とてもいいニュース。
「返却ついでに、未来に投票」
コープみらいの「コープ葛飾白鳥店」。
消費者が参加できる「買い物カゴ投票」が実施された。
「一部のお肉を『トレー』から
『ノントレー包装』に
変更してもいいですか‽」
「特定の時間帯に、一部の商品棚の照明を
消してもいいですか?」
こんな大きなパネルが、
買い物カゴの返却スペースに設置される。
下部には[YES・NO]の、
2つの選択肢が用意されている。
お店側から二者択一の問いが出される。
顧客が買い物カゴを返却する際に、
「YES」か「NO」回答をする。
顧客は買い物カゴを返却するだけで投票できる。
この手軽さが魅力だ。
ふだんの買い物を通して意思表示ができる。
また、店側も大がかりな仕掛けを準備する必要がない。
こちらは気軽に顧客に問いかけて、
意見を聞くことができる。
このコーナーには、
顧客の判断のためのヒントも併記されている。
プラスチック削減だけではなく、
家庭ごみが減ることや、
そのまま冷凍できることなど、
日常生活の快適さが向上する。
実際の「ノントレー包装」の見本も提示してある。
買い物カゴはどんどん積みあがっていく。
顧客の声が可視化されていく。
その投票結果を受けて、
店側が取り組みを進めることができる。
シンプルな仕組み、簡素な仕掛けで、
顧客の意見を集める。
この「買い物カゴ投票」は、
行動科学の知見が活用されている。
人々がより良い選択を、
しかも自発的にできるように、
手助けする手法だ。
「ナレッジ型コミュニケーション」と呼ぶが、
その新たな手法である。
買い物カゴを返却する行為を、
投票行動に変える。
これによってより良い売場を、
お客とお店が一緒になって、
つくることができる。
この「買い物カゴ投票」は、
滋賀県立大学の山田歩准教授と、
公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンが、
共同で行っている。
この「買い物カゴ投票」マニュアルは、
WEBサイトでも公開されている。
どんな人でも利用可能だ。
問いの立て方、投票の実施方法、
売場への反映の仕方まで、
詳細に解説されている。
その具体的取り組みとして、
2024年10月から、
コープみらいの実証実験が始まった。
お問い合わせは以下。
メールアドレス:social@wwf.or.jp
滋賀県立大学のモットーが面白い。
「キャンパスは琵琶湖。テキストは人間。」
フィールドワークや実験・実習を、
積極的に取り入れた実践的な教育・研究を通して、
“地”に足のついた「専門性」と、
他者への「思いやりの心」をそなえた
「人が育つ大学」。
山田研究室は、
行動インサイトと生活者インサイトの、
両サイドの組み合わせから、
「人を動かす」コミュニケーション手法を、
研究開発している。
この企画の実施にあたっては、
WWFジャパンや滋賀県立大学の許可は必要ない。
WWFジャパンおよび滋賀県立大学は、
「買い物カゴ投票」の実施に際して、
「アドバイスはできかねます」としている。
それでも多くの企業や店舗で、
この投票を実施してみてはどうだろうか。
ポイントはズバリ「二者択一」の、
わかりやすい問いを考えることだ。
そして変な主張を込めないこと。
そのうえで顧客の行動を促す。
投票することで、
お店に対する信頼も高まる。
是非、取り組んでほしいものだ。
〈結城義晴〉