「自分の頭の畑」と「エコーチェンバー&フィルターバブル」

今年最多の夏日となった。
いつもの桜の木も、
桃色と緑色が混ざって、
これも美しい。
商人舎流通SuperNews。
セブン-イレブンnews|
5/15付けで阿久津氏が社長昇格/永松氏は会長に
阿久津知洋執行役員建築設備本部長が社長に昇格。
54歳のプロパー新社長。
大いに期待しよう。
セブン&アイnews|
5/27付取締役人事/伊藤順朗氏は会長に
伊藤順朗さんが代表取締役会長就任。
こちらも大いに期待したい。
さて日経新聞夕刊のエッセイ「あすへの話題」
作家の荻原浩さん。
「頭の畑」をつくる話。
『海の見える理髪店』で、
2016年に直木賞を獲った。
作家になってから20年が過ぎていた。
作家としての力量は確かだ。
そしてこの短編小説はいい。
その荻原さんのエッセイ。
「日経新聞の紙面を使って言うことじゃないが、
私は経済に疎い」
「ダウもナスダックも、言葉は知っていても、
どういうものなのかわからない」
「円高、円安を頭では理解できても、
1ドル145円より148円のほうが
『安い』という現象には、
いつも脳が混線する」
そして語る。
「まあ、相互関税なんていう、
めちゃくちゃな政策は長続きしないと思う。
なにしろいちばん被害を受けることになるのは、
結局、アメリカの消費者なのだから――」
「というふうに私が
いっぱしのことを言えるのは、
じつは誰かの受け売りで、
自分の頭の中で産み出した考えじゃない」
その通り。
荻原さんは正直だ。
私も同じようなものだ。
「これでいいのかと思う。
複数の識者の話を聞くことは大切ではあるが、
丸飲みは鵜呑(うの)みでしかない」
「だから経済の基本的なしくみと用語ぐらいは、
知っておこうと思う」
これ、すごく大事なことだ。
とくに若い人たちには、
この萩原さんの言葉を聞いてほしい。
「アメリカ、けしからん、
と言うのは簡単だが、
なぜ、けしからんのかを
理解しておかないと、
きちんとけしからがる(←こんな日本語はないですけど)
こともできない」
「電話に出れば詐欺。
ネットでは、
アルゴリズムと偽情報に踊らされる」
「何を信じていいのか
わからないいまだから、
広く浅くでいいから
基礎知識を植えつけて、
自分で考える
頭の畑をつくらねば、
と思うのだ」
これ、実にいいアドバイスだ。
「フェイクニュースに
騙(だま)されないためにも」
エッセイのオチはこれ。
「ちなみに恥の上塗りをすると、
私は経済学部卒です。
4年間、なにやってたんだ」
自分の専門以外のジャンルに対して、
広く浅くでいいから基礎知識を身に着ける。
そして自分で考える頭の畑をつくる。
今、「エコーチェンバー」だとか、
「フィルターバブル」などの言葉が使われる。
エコーチェンバー(Echo Chamber)は、
同じ意見を持つ人々が集まるコミュニティ内で、
情報が反響し合うことで発生する。
フィルターバブル(Filter Bubble)は、
アルゴリズムが個々のユーザーに合わせて、
情報を選り分けることで起こる。
結果としてユーザーは、
自分にとって心地よい情報の「泡」の中で、
安心感を得られる半面、
異なる視点や多様な意見に触れる機会を失う。
怖いことだ。
SNSのFacebook、Instagram、Xは、
過去に自分が興味を示したことに近い投稿が、
多く表示される。
YouTubeでは、
ある動画を3回視聴すると、
その動画が9倍表示されやすくなったという、
そんな研究結果もあるらしい。
SmartNewsやYahooニュースなどは、
ユーザーがよく読む記事ジャンルに基づいて、
ニュース提供が最適化される。
そのように設計されている。
ユヴァル・ノア・ハラリが指摘する。
SNSは「クモの巣」ではなく、
「繭」に閉じ込められる世界になりやすい。
だから私はこのブログでも、
万代知識商人大学などでも、
いつも言っている。
スマホだけではいけない。
ウェブニュースだけでもいけない。
かといってモーニングショーだけでもいけない。
きちんとした単行本、
そして新聞、テレビ、雑誌も、
ときには漫画なども、
併読してよろしい。
さらに確かな意見をもった人と、
対面で意見交換する。
それが「自分で考える頭の畑」となる。
そして自分の専門領域に関しても、
一つの情報源に、
頼ろうとする誘惑は、
退けられねばならない。
私はいつも必ず、
源の情報に当たるようにしている。
これらは今、とても大事なことだ。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
ファクトチェックの手を抜かない。疑うことを忘れない。異なる意見に触れる。論破目的ではなく正しい議論をする。これらのことを心がけています。
吉本さん、素晴らしい。
事実を確かめる。
疑うことを忘れない。
異なる意見こそ重視する。
それが正しく見ることの王道です。